トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 2019年のK-POPベスト10
K-POP番長と振り返る2019年のK-POP

【K-POPベスト10-2019】キーワードは「ガールクラッシュ」トップはやっぱりBLACKPINKか?

BLACKPINK

 2019年は日韓関係に緊張が走った年ではあったが、カルチャー面はさにあらず……!? 年末のNHK紅白歌合戦にもTWICEが出演するなど、日本でも相変わらず人気コンテンツとなっている。本稿では、K-POPに造詣が深くタッグを組んでの関連イベントも開催している作家のカルロス矢吹とK-POP番長こと音楽ライターのまつもとたくおが、昨年のK-POPベスト10を選出しました!

◇ ◇ ◇

矢吹:毎年末我々2人で、インターネットチャンネル「DOMMUNE」にてその年のK-POPを振り返る企画をやってきました。ところが今年は、スタジオの移転もあってDOMMUNEではやれず。ただ、せっかく毎年やってきたことなので、2019年もどんな形でもいいからどこかでやりたいな~と思っていたところ、『日刊サイゾー』から“ウチでどうですか?”と声をかけていただき、こうして馳せ参じた次第です。

まつもと:ありがたいですね。

矢吹:本当に。というわけで、今年もまつもとさんには2019年のK-POPベスト10曲を選出していただきました。一般的には、BTSやBLACKPINKの世界的大ブレイクに始まり絶好調だったK-POPですが、徴用工問題を発端とした日韓両政府の衝突に、相次ぐ韓流スターの自殺等、良くも悪くも“K”の話題には事欠かない1年ではありましたね。

まつもと:自分で言うのもなんですけど、20年近くK-POPライターをやってきて、今年は一番忙しかったですね。日韓問題というのは根深くありましたけど、仕事的には全然影響が無かったです。K-POPは世界的に盛り上がっていて、それは日本も同様で。勢いは衰える気配がありませんね。

矢吹:では、まつもとさん選出のTOP10を見ていきたいんですが。その前に、簡単に今年の総括をお願いします。

まつもと:3つほど大きな流れがありまして、まずは海外進出の充実。矢吹さんとこれまで話してきた通り、韓国は国土が狭いから大きな成功を手に入れるには外に出ないといけない、特にアメリカに向けてやってきた。その流れが昔からずっとあった上で数年前からBTSが出て、2019年はBLACKPINKが出てきた。これが一つ目。

 一方で、完璧な商品を作ることをずっと目指してきたものの、生身の人間ゆえにその息苦しさに耐えられなかったのか、芸能スキャンダルが多く出た年でもありました。BIGBANGの元メンバー・V.Iの売春斡旋疑惑や、K-POPスターの相次ぐ自殺。いつでもどこでも華やかに見せるということに疲れ、反動でスキャンダラスなものが出てくる。そういう負の部分も目立った年だったと思います。

 3つ目は、音楽面では良い曲が多かっただけでなく、ここ数年ずっと韓国内のインディシーンを賑わせていたシティポップ、これがメジャーにまで降りてきた。今年はそれが明確になった年でした。

 総括として言える大きな流れはこの3つでしょうか。

日本のシティポップがK-POPに与えた影響

矢吹:なるほど。我々が毎年話してたことが、わかりやすい形で表に出てきた年でしたね。では、TOP10を見ていきましょうか。

10位 Bronze/One More Time

矢吹:まさにJAPANESE CITY POPオマージュですね。

まつもと:韓国HIP HOP/R&Bクルー〈8BALL TOWN〉のプロデューサー、Bronzeの初アルバムに収録されている曲です。アートワークは永井博。大瀧詠一さんのアルバムジャケットなんかを手掛けているイラストレーターで、日本のシティポップを再現するにあたって“ジャケットもそうしたい”ということで、オファーしたようです。シティポップブームも行くところまで行ったということを表す一曲ですね。

矢吹:まつもとさんは何故韓国でシティポップがここまで流行したと考えていますか?

まつもと:韓国でシティポップを流行らせた中心人物は、多くの方が既に指摘されている通りNight Tempoだと思います。彼の活動を見てると、小さい頃に自分が聴いていた音楽へのリスペクトが強いですよね。昔の日本のアニメとかのエンディング、ああいうので流れていた楽曲の多くが16ビートの刻みやテンションコード、セブンスコードを多用した爽やか系のアレンジで、そこにリズミカルで美しいメロディが乗っかっていく。こうしたサウンドが原体験になり、大人になった今、それを再現したい、コレクトしたいと思う層が増えてきたんだと推測しています。

矢吹:やはり1998年の日本文化解禁が大きかったんでしょうか?

まつもと:確かにそれはありますね。特に韓国の場合は、アニメの数秒間を切り取ってループするMVが増えていますし、シングルジャケットにもクリィミーマミ系のテイストのアニメ画を使っているアーティストが山ほどあるんです。日本のマンガやアニメから出発してシティポップにたどり着いた人が多かったんだと思います。

矢吹:なるほど。とまあこんな感じで、10曲見ていきたいと思います。続いて9位。

9位 私のタイプ/ミユ(竹内美宥)&ユン・ジョンシン

まつもと:これなんかも、今年を象徴する楽曲の一つだと思うんです。竹内美宥はAKB48の元メンバー。2018年6月15日から8月31日まで放送された日韓オーディション番組『PRODUCE 48』に練習生として参加。最終選考まで残ったんですけど、最終順位17位。そこから奮起して、実力派アーティストのユン・ジョンシンが所属する韓国の事務所と契約を交わし、満を持してリリースしたのが「私のタイプ」です。

矢吹:これもJAPANESE CITY POPオマージュですよね、本当にメジャーシーンにこのブームが降りてきたんだな、ということがよくわかる1曲です。

まつもと:ユン・ジョンシンがプロデュースしているんですけれども、彼らが所属しているMYSTICエンターテインメントという事務所は非常に楽曲志向が強いところで、そこが彼女のために選んだのがシティポップだった。そして同じ映像を何度もリピートするMVも、さきほどのアニメの話と同じ発想で作られている。オーディション番組によって日本の才能が韓国に流れている一方で、シティポップがそこにリンクしているのは非常に面白いなと思いながら見ています。ただ、ご存知の通り『PRODUCE 48』という番組は投票数を不正に操作していたことが明るみになりました。なので、彼女が本当にちゃんと投票で落ちたのかどうかは正直よくわからないんですよね。

矢吹:この騒動で、韓国のオーディション番組ブームは下降すると思いますか?

まつもと:該当する番組や、そこから出てきたグループが叩かれているんですけど、だからといってオーディション番組自体は消えないと思うんですよね。それで沢山のスターが生まれて、シーンが活性化しているのは事実ですし。韓国って一時は騒いでも、ある程度経ったらさっと冷めてしまう。オーディション番組もまた出てくると思います。

矢吹:では、日本人が韓国のオーディション番組を受けに行くという流れも途切れなさそうですか?

まつもと:そうですね、魅力的なオーディション番組がある以上、受けに行く傾向は消えないでしょうね。

8位 Kisum(キソム)/酒よ

矢吹:2014年デビューのラッパー、キソム。彼女は生き残りましたねー。

まつもと:本格派じゃないし少し安っぽいけど、突き抜けた曲をやりますよね。この曲はただの酔っ払いの歌で、“一晩飲んで記憶なくて、こんな時間だけどまた飲んじゃう”というただそれだけ(笑)。メッセージ性とかは無いんですけど、とにかく陽気で非常に韓国っぽいですよね。

矢吹:日本だとChelmicoなんかが同じスタンスですかね。

まつもと:ああ、似ていますね、確かに。実は韓国のヒップホップでこういうポジションの人があまりいないんです。アイドル的なオーラと芸能界のノリがあるタイプというか。大半の評論家は年間ベストに彼女の曲を選ばないと思います。音楽的に尖っているわけでもないし。けれどもヒップホップが如何に歌謡界に根付いて大衆化しているかという証明の一つであることは間違いない。もの凄くレアな存在だと思います。

7位 アクトゥン/少し待って

まつもと:これは個人的に今年よく聴いた曲でして、気取らない、自然体の演奏が気に入ってます。ベテランに近い人達なんですけど、アコースティックギター、ベース、ドラムというシンプルな構成に加えて甘い歌声。ダンスポップやヒップホップが主流になった韓国でも、こうしたオーソドックスなサウンドがいまだに求められているんですよね。彼らの曲を聴くと、どんな時代になっても変わらない韓国人好みの情感があるということを痛感するんです。

矢吹:ヒップホップが隆盛を極めても、ジェイムス・テイラーみたいな音楽をやる人が出てくるアメリカなんかも一緒ですよね。

まつもと:同感です。ただ、流行と無縁だし、派手さも無いので、この手の音がスルーされがちなんですけど、ちゃんと拾ってあげたいなと思って選出しました。

123
ページ上部へ戻る

配給映画