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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『パラサイト』ポン・ジュノ登場!
映画『パラサイト 半地下の家族』公開記念Wインタビュー

格差社会をエンタメ化した『パラサイト』が話題  “映画至宝”ポン・ジュノ&ソン・ガンホが来日!

脚本にはなかった重要なキーワード

――IT企業の社長(イ・ソンギュン)の豪邸に、一家全員で寄生するようになるキム親子ですが、物語の後半からは思いがけない展開が待っています。厳しい状況の中で、ソンさん演じるキム・ギテクが口にする「計画を持たないことが、一番いい計画だ」という台詞は、恐ろしく説得力があると同時に、下流層で暮らす人間はいくら努力しても無駄だという諦観を感じさせ、胸を締め付けられます。

ソン あの台詞は、確かに物語の重要なキーワード。格差社会の中に漂う無気力さ、自嘲的にならざるを得ない状況が、あのひと言によって的確に表現されているんじゃないかな。そんな重要な台詞なんだけど、実は脚本にはなかったんだよ。撮影当日になって、監督から「このシーン、重要な台詞を追加するので、ちょっと待ってください」と言われて、しばらくして渡されたのがあの言葉だったんだ。

ポン 「計画を持たないことが、一番いい計画」だなんて、父親がこれからの時代を生きる息子に向かって口にする台詞じゃないですよね。ガンホ先輩の演じる主人公キム・ギテクの絶望感が、とてもリアルに伝わるシーンになったんじゃないでしょうか。

――ああいうリアリティーたっぷりな台詞は、どうやって思いつくんでしょうか?

ポン 僕は映画監督であり、脚本家でもあるわけですが、面白い物語のインスピレーションを得るために、劇的な事件に関わろうとは思いません。薬物に手を出したり、酒を呑むことで自分の肉体を追い詰めて、そこから何かを得ようとも考えません。それよりも日常生活を淡々と暮らし、その中で思いついたこと、感じたことを脚本として書き続けること。それが僕の創作スタイルです。あの台詞も、そんな生活の中から、自然と思い浮かんだものです。決して、「名台詞を書いてやろう」とは考えないですね。

記者会見を終えて、リラックスムードのソン・ガンホとポン・ジュノ監督。ソンが2歳年上なので、「ガンホ先輩」と敬意を持ってポン監督は接していた。

――ソンさんはさまざまな監督たちと組んで、多くの映画に出演してきたわけですが、ポン監督の演出はほかの監督たちとどこが違うんでしょうか? これまでに無茶振りされたことはありませんか?

ソン 俳優ができないことを、無茶振りしたりはしない監督だね。彼はまず本番の前に自分で「こういうふうに演じてください」と模範演技を見せてくれるんだ。俳優はそのまま演じればいいので、とてもやりやすいよ。

ポン (日本語で)ウソだ(笑)。

ソン 彼は鋭い批評精神を持っているし、彼が撮る作品には、ほかにはない独特の雰囲気がある。俳優たちはみんな、彼の作品に出たがっているんじゃないかな。多くの監督は俳優に向かって「もっとシャープな体にしてください」と頼んでくるものなのに、なぜか彼は俺に向かっていつも「太ってください」と言うんだよ。それもほかの監督たちとは違う点だね(笑)。

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