いま一番”使いたい”女優? 夏帆『ひとりキャンプ』で見せた、自然体な演技の集大成
#夏帆 #女優の花道
現在、最も作り手に求められている女優は、夏帆ではないかと思う。
2019年・冬クールのドラマでは『ニッポンノワール‐刑事Yの反乱‐』(日本テレビ系)と『ひとりキャンプで食って寝る』(テレビ東京系)の2作に出演。この年はほかにも4本のドラマに出演しており、年間を通してはNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演している。映画では『きばいやんせ!私』と『ブルーアワーにぶっ飛ばす』に出演。2020年は島本理生の恋愛小説をR15+指定で映画化した『Red』と17年にバカリズム脚本で話題となったドラマを映画化した『劇場版 架空OL日記』の2作が控えている。
驚くのは、演じる役が毎回見事にバラバラだということ。『いだてん』では、大正・昭和初期の時代を生きた落語家の妻を、『ニッポンノワール』では勝気な女性ジャーナリストを演じた。一方、『ひとりキャンプ』ではソロキャンプに励む七子という女性を演じているのだが、これはほとんどドキュメンタリーのようである。
一方、『きばいやんせ!私』は不倫で地方局に飛ばされた女子アナを演じるコメディ。逆に『Red』では、不倫をする主婦をシリアスに演じている。そして『ブルーアワーにぶっ飛ばす』では、口を開けば悪態ばかりついている、鬱屈した30歳CMディレクターの女性、といった具合だ。
ど真ん中の主演もできれば、脇を固めるバイプレイヤーもこなし、シリアスもコメディもいけるというオールラウンドでの活躍である。
夏帆は現在28歳。「もう28歳か」と思う人は昔の夏帆を覚えている人だろう。
小学5年生の時にスカウトされ、10代向けのファッション誌でモデルとして活躍。03年には、宮沢りえや蒼井優を輩出した「三井のリハウス」の11代目リハウスガールに選ばれ、07年まで務め上げた。そして女優としては、04年のドラマ『ケータイ刑事 銭形零』(BS-i)に13歳で初主演を果たした。
その後、07年に山下敦弘監督の青春映画『天然コケッコー』に出演。同作で演じた田舎の女子中学生・右田そよ役が高く評価され、女優としてスターダムを駆け上がっていった。
しかし、若い時に制服が似合う清純派美少女として高く評価されてしまうと、その後が苦しくなってしまうもの。過去のイメージが邪魔をして、女優として伸び悩んでしまい、いつの間にか引退していたという若手女優はたくさんいる。
夏帆も10代後半ぐらいになると「大丈夫だろう か?」と心配になることが何度もあった。役がパターン化され、みんなが求める清純派美少女としてのイメージが強くなりすぎて息苦しそうに見えた。しかし夏帆は、演じる役の幅を大きく広げることで、女優として見事、脱皮を果たした。
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