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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『きのう何食べた?』SPもいい!

『きのう何食べた?』待望の正月SP! 3万円の傘と食費の残金23円の価値

何倍もの価値を持った23円

 シロさんが勤務する弁護士事務所は繁忙期を迎え、代わりにケンジが食事を作ることになった。シロさんが設定した月2万5,000円という食費の上限を意識しながら、毎晩かいがいしく食事を作るケンジ。しかし、シロさんの仕事は多忙を極め、2人が食事を共にできない期間は3週間に達していた。

 ケンジは美容院の店長・三宅祐(マキタスポーツ)から「シロさんがいないときだからこそ、自由にしたら寂しさも紛れるはず」と言われ、好きにすることにした。躊躇せず、鶏もも肉1枚、卵3個を使った具だくさんのオムライスを作ったのだ。そして、いざ食べようとした瞬間、シロさんが帰宅する。倹約家のシロさんに、ルール無視のオムライスを見せるのはバツが悪い。しかし、風呂の用意をしようとしたケンジを引き留め、シロさんは言った。

「一緒に食おう!」

 鶏もも肉1枚を使ったと聞き、一瞬ピキッとなったシロさんだったが、それより今はケンジとの時間を大事にしたい。シロさんは特製オムライスを口にし「五臓六腑に染み渡るとはこのことだ!」と、至福の表情を見せた。事務所でうな重やピザを食べたときでも、彼はこんな顔はしなかった。一方、自分のための贅沢オムライスを作るケンジは楽しそうだった。でも、シロさんとの食事はそれ以上。シロさんと向かい合ったケンジは泣きだしてしまった。シロさんとの食事の時間は泣けるほど幸せなのだ。

 2章と3章は対比になっている。ツンデレなジルベールのキムチチゲとストレートなケンジが作ったオムライスの対比。でも、どちらも恋人と一緒に食卓に着くことを一番に願っている。

 ケンジはなんとか、食費を23円余らせた。たった23円……。

ケンジ「すごく頑張ったんだけど……」

シロさん「すごいじゃないか! 大したもんだよ。俺だって最近は結構頑張らないと2万5,000円に収まらないのに」

ケンジ「そうなの!?」

 シロさんが両親に送る仕送りも、ケンジがシロさんに送った3万円の傘も、この23円も、大切な人にとっては何倍もの価値を持つものになる。

 両親の老い、自分の生活、年を重ねるごとに、人にはさまざまな悩みが生まれる。どれも普遍的な問題ばかりだ。1年の始まりである元日に、シロさんとケンジの生活を通じ、リアルな問題を描いた今回のSP。お金と時間を切り口に、この1年を考えるきっかけを与えてくれたと思う。我々にとって、すごく大きな価値のあるドラマだった。

●『きのう何食べた?』正月スペシャル2020 Tver(1/8まで配信中)
https://tver.jp/episode/66808776

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2020/01/06 18:00
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