2019年のお笑い界を牽引した霜降り明星「個性で勝負しない」ことの重要性とR-指定 / Creepy Nutsとの共通点
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ミルクボーイというダークホースがM−1グランプリで優勝し、まさかの展開を迎えることとなった2019年のお笑い界。しかし、この1年を牽引したのは、霜降り明星、ミキ、四千頭身などの「お笑い第7世代」と呼ばれる、若い芸人たちだったと言えるだろう。
その「お笑い第7世代」のリーダー的存在といえば、やはり2018年のM−1王者である霜降り明星だ。2019年4月には東京に拠点を移し、メディア露出も激増。来年1月からは、フジテレビ系月9ドラマ『絶対零度』に粗品が、TBS系日曜劇場『テセウスの船』にせいやが、それぞれ出演することも決まっている。テレビ局関係者はこう話す。
「2019年は霜降り明星の1年だったと言っても過言ではない。吉本のプッシュもそれなりにあったんですが、それ以上に実力で出番を勝ち取っているという印象の方が強いです。必ずしもインパクトが強い芸風でもないし、キャラクターが濃いわけでもないのに、しっかりと結果を残していくのは、すごいこと。売出し中の若手芸人に対しては業界内で批判的な声が上がることも多いんですが、霜降り明星についてはそういった声はあまりないです」
霜降り明星について、ある構成作家はこう評価する。
「粗品もせいやも、プライベートは真面目だし、生い立ちも普通。人間力をそのまま芸人活動に反映するタイプではなく、地道な努力と研究を重ねることで、のし上がってきたタイプ。過去のいろいろなお笑いを分析して、自分のものにする能力が高いのはもちろんですが、ストイックに芸を磨いていくのは本当にすごい。だからこそ、周りの芸人たちも霜降り明星を認めざるをえないのだと思います」
そんな霜降り明星との共通点を指摘されているのが、R-指定とDJ松永によるヒップホップデュオ「Creepy Nuts」だ。レコード会社関係者はこう話す。
「R-指定は、フリースタイルラップの全国大会『ULTIMATE MC MATTLE(UMB)』で3連覇をして、さらに『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)では2代目ラスボスに就任するなど、ラップのスキルは誰もが認めている。DJ松永についてもDJの世界大会『DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019』で優勝するまさに世界一のDJ。2人とも、とにかくラップとDJプレイのスキルがずば抜けていて、だからこそシーンで一目置かれている。まさに芸を磨いて結果を出して、周囲に認められるという点で霜降り明星とすごく似ていると思います」
ヒップホップの世界もお笑い界同様に、ラッパーのキャラクターや人間性、生い立ちなどが重視される世界である。しかし、Creepy Nutsの2人は必ずしも自身のキャラクターを前面に出すタイプではない。
「いかにハードな人生を歩んできたかをリリックにするラッパーが多いのは事実。“不良性”のような部分が強く好まれる傾向もある。しかし、R-指定の場合は、むしろオタクっぽくもあり、不良とはかけ離れている。ともすれば、ヒップホップの世界ではあまり好まれないタイプなんです。でも、そこで無理して自分を“ヒップホップらしい存在”に見せるのではなく、自身のやり方と高いスキルで上り詰めている。これは、キャラ芸人になることなく、ネタを磨き上げで上り詰めていった粗品と共通する部分です」(前出・構成作家)
霜降り明星もCreepy Nutsもともに、業界の裾野を広げる存在としてとても重要だといえそうだ。
「“不良でないとラップをやってはいけない”とか、“人気者でないとお笑いをやってはいけない”というような思い込みを捨てさせるに十分な存在だと言えますね。何かと固定化されがちな価値観を崩していくという意味で、霜降り明星やCreepy Nutsのような存在が、シーンで支持されるのはとても素晴らしいことですね」(同)
ここ数年盛り上がるお笑い界とヒップホップ界だが、霜降り明星とCreepy Nutsの貢献度はかなり高いものだといえそう。この2組の存在によって、お笑いやヒップホップというものが、より多くの人に愛されていくに違いない。
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