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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 令和元年は個性派女優が飛躍?
ドラマ評論家・成馬零一の「女優の花道」番外編

富田望生、森田望智、桜井ユキ……令和元年は個性派女優が飛躍?

モトーラ世理奈は新世代のヒロイン

 そして、まったく新しい個性で、一気に飛躍しそうなのがモトーラ世理奈。パリコレのショーモデルや雑誌「装苑」(文化出版局) の専属モデルとして活躍する傍ら、昨年出演した映画『少女邂逅』で、ミステリアスな女子高生を演じ、女優としても大きく注目された。そして今年は学園ドラマ『ブラック校則』(日本テレビ系)のヒロインに抜擢。そばかすに細い目、そしてクールな表情は、今の芸能界で主流となっているアイドル的かわいさとは真逆のもので、だからこそ孤立した居場所のない少女を演じるとぴったりとハマる、新世代のヒロインだといえるだろう。

 異業種からの参入という意味では、『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)で長身の女子陸上選手・人見絹枝を演じた菅原小春も忘れられない。ダンサー、振付師として世界中で活躍し、昨年の『紅白歌合戦』 では米津玄師とのコラボが話題となったが、『いだてん』では女優に初挑戦。「走る」という全身を使った演技と、自信なさげにしゃべる日常会話のギャップが鮮烈な印象を残した。

 最後に昨年『PRINCE OF LEGEND』(日本テレビ系、以下、『プリレジェ』)で主演を務め、今年は『絶対正義』(フジテレビ系)、『I”s』(BSスカパー)、『だから私は推しました』(NHK) 等に出演し、大きく飛躍したのが白石聖。彼女の魅力はいい意味でお人形さんになれる体温の低さで、男から欲望の対象とされるアイドル的存在を演じると、がぜん面白くなる。中でも『プリレジェ』の成瀬果音は見事なハマり役だった。

 それぞれ独自の個性を持った、一人一ジャンルとでもいう存在だ。それだけにスパイスとして便利に使われる危険性もあるのだが、そこをうまく避けて個性を生かした役とどうやって出会うかが、今後の課題だろう。逆に言うと、彼女たちが物語のヒロインを演じる機会が増えれば、保守的なところが多い日本の映画やドラマにおけるヒロイン像は、大きく更新されるのではないかと思う。 

成馬零一(ライター/ドラマ評論家)

1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。ライター、ドラマ評論家。主な著作に『キャラクタードラマの誕生 テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)などがある。

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Twitter:@nariyamada

なりまれいいち

最終更新:2019/12/26 16:00
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