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『灘校物語』出版記念特別コラム

なぜ同じ東大卒でも、有能な人間と無能な人間に分かれるのか

安倍氏の無能さは、小中高大を受験しなかったことに起因?

 安倍首相は29兆円もかけて景気対策をするというが、たぶんうまくいかないだろう。

 これまで散々、財政政策と金融政策をやり続けてきて景気がよくなっていないのだから、ほかのことを試せばいいのに試さない。

 これは安倍氏が、小学校も中学校も高校も大学も受験しなかったことに起因するのだろう。さらに、周りの優秀なブレーンも勉強法の工夫でなく、教師の言いなりで勉強していた東大卒や東大教授なのだろう。

 私は頭の悪い奴はそんなにいるとは思わないが、頭をちゃんと使わない奴はいっぱいいると考えている。

 勉強法の本が売れなくなって久しいが、塾任せのバカ親が増えていることは、その点で憂えている。

 12月5日にラジオに出ていたら、大学入学共通テストで、国語と数学の記述式の実施の延期というニュースが入ってきた。与党側が提言を出したというが、その方向になることだろう。

 英語の民間試験の導入中止も含めて、これでセンター試験の改革はほとんど前と同じということになる。

 採点の公平性以上に、記述式のほうが思考力や表現力がつくという思い込みからの暴走だろう。大規模テストでこれをやると数学だとユニークな解き方で正答を出す天才が受験で失敗することになるし、国語だとつまらない模範解答を強いられることになり、かえって表現力を損なう。

 英語にしても4技能のテストを課せば4技能が伸びるという考えは甘い。

 ものすごくできる人を除くと、4技能を課すことで、4技能とも中途半端になる。英語の授業時間を増やさずで、聞く話すの授業時間を作ると、読み書きがかえってできなくなる。

 もちろん安倍氏にとっては、旅行レベルの英会話はできるが英語が読めない国民を作っておくほうが、都合がいいのだろう。

 海外では、安倍氏の評価が低いどころか無視されている。

 どんどん日本の国際的地位は下がっている。長く続けていれば政治的プレゼンスが高まるなどと言ううそを国民は信じているが、日本の地盤沈下が続く中、相手にされない国になりつつある。

 英語が読めない国民を作ることは、為政者にとって好都合なことなのだ。

 ついでにいうと、読めないのは英語だけでない。

 先ごろ発表されたPISA調査の結果では、日本人の読解力(もちろん母国語のもの)は15位に急落(3年前は8位)の体たらくだ。

 日本語も読めず新聞も読めないほうが、テレビはすべて安倍氏に忖度しているので都合がいいのかもしれないが、国力にとっては深刻な問題だ。

 政府に忖度するので有名な読売新聞では数学と科学はトップレベル維持と書いているが、両方とも順位を落としているし、中国を含むほかのアジアの国に負けているのは、日本にとっては軍事的なこと以上に脅威だ。

 誰がやっても、日本の政治は大して変わらないだろうから、せめて愚民化教育をやめてくれるような人に、次の総理をやってもらいたい。

 

和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学心理学科教授。和田秀樹こころと体のクリニック院長。「I&Cキッズスクール」理事長。一橋大学経済学部非常勤講師。製作・監督した『受験のシンデレラ』はモナコ国際映画祭で最優秀作品賞(グランプリ)を受賞し、『「わたし」の人生 我が命のタンゴ』もモナコで4部門受賞、『私は絶対許さない』でインドとニースの映画祭で受賞するなど、映画監督としても活躍している。

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最終更新:2019/12/25 12:12
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