『M-1』下馬評を覆したミルクボーイの漫才と、4つの「うねり」
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ミルクボーイ・内海「嘘ですこんなもん。夢、夢、 夢」
10組目、最後に出てきたのは、ぺこぱ。ツッコミ役の松陰寺太勇とボケ役のシュウペイから成る、サンミュージックプロダクション所属の東京系の漫才師だ。盛った髪形に化粧といった、ビジュアル系ミュージシャンのような風貌の松陰寺が目を引く。ネタは、シュンペイが運転するタクシーに松陰寺が乗るというもの。設定はシンプルで、よくある感じに見える。
しかし、何よりツッコミが変わっている。たとえば、タクシーにいきなりぶつけられた松陰寺は、「どこ見て運転してんだよ!」とまずはストレートにツッコむ。しかし、そのすぐ後に、「って言えてる時点で無事でよかった」とフォローする。もう一度ぶつけられても、「いや2回もぶつかる! ってことは俺が車道側に立っていたのかもしれない」という具合だ。
ツッコミとフォロー。否定と肯定。ミルクボーイが2人の間で展開していた往復運動を、ぺこぱは松陰寺1人で高速にこなす。頭を振り乱す激しい動きが、その運動を加速する。客席を巻き込む。空気が変わる。「うねり」が押し寄せる。その結果は、和牛を2点ほど上回る654点。3位に滑り込む波乱が起きた。
最終決戦はミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱの争い。その結果については周知の通りだ。ファーストラウンドの勢いそのままに、ミルクボーイが優勝を飾った。当人たちが語るところによると、今年テレビで漫才を披露したのは、この日が初めてだったらしい。その日一番面白い漫才師を決める。その謳い文句通り、『M-1』は経歴も容姿も知名度も関係なく、この日一番面白い漫才師を選んだ。優勝を決めたミルクボーイ・内海が言う。
「嘘ですこんなもん。夢、夢、 夢」
松本が過去最高と評した2019年の『M-1』。振り返ってみれば、そこにはいくつもの「うねり」があった。番組の空気はその都度、一変した。反転に次ぐ反転。それはまるで、ミルクボーイの漫才のようだった。
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