『M-1』下馬評を覆したミルクボーイの漫才と、4つの「うねり」
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テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月15~22日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
松本人志「過去最高って言ってもいいのかもしれないですね」
ミルクボーイの優勝が決まり、すべてが終わった舞台の上で、松本人志は今年の『M-1』をこう評した。
「過去最高って言ってもいいのかもしれないですね」
10組の漫才師がネタを披露していく中で、爆発力のある笑いが次々と起きた。約3時間半の生放送中に、会場、審査員、出場芸人を巻き込む「うねり」が何度も生じた。優勝の行方を左右する番組の空気がその都度、大きく変わった。そんな22日の『M-1グランプリ2019』(テレビ朝日系)は確かに、過去最高の大会だったのかもしれない。
最初の「うねり」は、ファーストラウンドが始まって早々に起きた。笑神籤(えみくじ)によって、2組目に名前が呼ばれたのは、かまいたち。ボケ役の山内健司とツッコミ役の濱家隆一から成る彼らは、3年連続で『M-1』の決勝に進出している実力派だ。そして、大会の規定により、結成15年目のかまいたちは今年が『M-1』に挑戦できる最後の年でもあった。
ネタは、銀行のUFJとテーマパークのUSJを間違えた山内が、その間違いを相方の濱家になすりつけようとするというもの。たったそれだけのやりとりだが、手を替え品を替え屁理屈を繰り出す山内と、それに振り回される濱家のやりとりがずっとおかしい。特に終盤、山内は濱家に「逆の立場になって考えてみて」と言い、次のように主張する。
「もし俺が謝ってこられてきてたとしたら、絶対に認められてたと思うか?」
文字に起こして改めて読んでみても、やはり意味がわからない。音だけだとなおさらだ。それまで怒りのボルテージを尻上がりに高めながらツッコんでいた濱家も、困惑した表情で「どういう意味?」と問い返す。その声を合図に、客席が笑いで破裂する。
日本語として意味を成さない言葉が、ボケとして意味を成してしまう。そんなところに、2人はその掛け合いだけで到達してしまった。
ここで一度、番組の空気は大きく動いた。かまいたちがその実力を見せつける形で、優勝トロフィーに手をかけた。
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