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無印良品だけじゃない! 中国商標「横取り」登録の最新事情

無印良品

 12月12日、家具、衣料品、雑貨、食品などの販売を国内外で手掛ける良品計画が、「無印良品」の商標使用をめぐり、中国国内で「無印良品」の商標権を保有する中国企業から訴えられていた裁判に判決が下された。北京市高級人民法院は良品計画側の商標権侵害を認め、62万人民元(約1,000万円)の賠償を命じたのだ。

 クレヨンしんちゃんからくまモン、ルイ・ヴィトンに至るまで、海外企業が中国で無関係な個人や企業に商標を横取りされた例は枚挙にいとまがない。そうした状況は今も変わらず、なおも新たな商標が、無関係な第三者によって登録され続けている。今年8月には、フィギュアスケートの羽生結弦選手の名前を中国企業が商標登録申請していたこともわかり、大きく報じられたが、それも氷山の一角にすぎない。

 ここ数年増えているのは、日本の皇族の名前が商標登録される例だ。中国での人気が非常に高い佳子内親王は「佳子公主(公主はプリンセスの意味)」や、「佳子小姐(佳子お姉さん)」などと呼ばれているが、中国国内の商標権などを管理する国家知識産権商標局の公式サイトで調べてみたところ、前出の呼称が、現地企業2社に、それぞれ商標登録されていることがわかった。ちなみに前者を登録しているのはオムツメーカー、後者は印刷メーカーだった。

 同サイトをさらに調査すると、中国でも不動の人気を誇る「木村拓哉」が、あるベビー用品メーカーによって商標登録されていた。また、先ごろ、芸能界を騒がせた沢尻エリカは美容品メーカーによって「沢尻堂」と商標登録されていた。「沢尻」という単語自体、中国語には存在しないため、沢尻を意識していることは間違いないだろう。

 日本の首相を意識したような商標もあった。浙江省台州市のアパレルメーカーは、同じく中国語読みの発音に寄せた「安倍静三」という名前を商標登録している。また、広東省恵州市にある殺虫剤メーカーは、「安倍晋三」の中国語読みの発音に寄せた「安倍浄三」という商標の登録を申請中で、現在審査を受けている。

 中国当局は去る11月から、横取り等を含めた悪意ある商標の取り締まりを始めている。しかし、その成果は、まだまだ道半ばといったところのようだ。

(文=廣瀬大介)

最終更新:2019/12/24 18:00
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