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熱血!”文化系”スポーツ部

ラグビー、侍ジャパン、バレー……2019年のスポーツコンテンツに”リスペクト”はあった?

東京五輪のメイン会場となる新国立競技場(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 あまり浸透していないが、2019~21年の3年間は、スポーツ界において「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼ばれている。

 19年はラグビーW杯。20年はもちろん、東京オリンピック・パラリンピック。そして21年には関西ワールドマスターズゲームズと、3年連続で世界的な一大スポーツイベントが控えているからだ。

 その大事な3年間の初年度。スポーツを“伝える側”はどうだったか? 今年の総括的な意味も含めて振り返ってみたい。

 一言でまとめるならば、キーワードは「そこにリスペクトはあるのか?」。

 わかりやすい例として、今月8日、DAZNで中継された「Jリーグアウォーズ2019」を挙げたい。Jリーグ1年間の総決算として、MVPやベストイレブンなどの年間表彰を行う晴れの舞台にもかかわらず、今年のアウォーズはかつてないほど炎上してしまった。

 炎上理由はいくつもあるのだが、一番の要点は、かみまくる司会者&選手に寄り添わないプレゼンター役の芸能人、というキャスティングと演出面だ。いまだに芸能人を呼んでにぎやかしをしようという発想が、そもそも貧弱すぎる。

 仮にこれが地上波中継案件ならば、サッカーファン以外にも興味を持ってもらえるように、ということではまだわかる(もちろん、大反対だが)。でも、DAZNは有料視聴。明らかにサッカーファン、もしくはスポーツファンしか見にこない。なんなら、もっとサッカーファン向けのマニアックな企画、マニアックなゲスト人選をしたっていいはずだ。

 これ、サッカーファンでも試合じゃない表彰式は見てくれないのでは? という敬意を欠いた発想があったとしか思えないのだ。サッカーに、Jリーグに、サポーターにリスペクトがあれば、まず間違いなく選ばない演出方法といえる。

 そんな炎上案件において、数少ない救い、と思えたのは、炎上したひとりでもあるホストで実業家のローランド(ROLAND)が、アウォーズ当日、という異例の早さで謝罪コメントを発表したこと。そこにはこんな記述があった。

《フットボールに対してのリスペクト、選手・監督へのリスペクト、そしてガチ勢と呼ばれる三度の飯より、睡眠時間より、時には恋人よりもフットボール…(勿論自分もその1人だ)と言った方々へのリスペクトも今一度見直そうと思う》

 このローランドの反省の弁が、今年のJリーグアウォーズを企画立案した人、中継演出を担った人々にも届きますように、と願うばかり(そもそも、ローランドよりも謝罪すべき人はいるはずなのだが……)。

 Jリーグアウォーズのがっかり具合で思い出したのは、ラグビー日本代表に対するW杯前の扱いについてだ。

 結果的にラグビーW杯は沸きに沸き、日本代表が掲げた「ONE TEAM」は流行語大賞まで受賞。19年のスポーツ界で象徴的な存在となったラグビー。ただ、大会前は「本当に盛り上がるのか?」と、いぶかしがる層が多かったのは間違いない。

 そんな不安があったからか、NHKとともに地上波中継局の責務を担った日本テレビでは、W杯前に日本代表選手を取り上げる際、バラエティで(もしくはバラエティ的なノリで)扱う場面が多かった。

 でも、そんな小手先の企画や演出よりも、選手たちの死力を尽くした試合そのものの力があればちゃんと盛り上がる、ということが今回、如実になったはず。選手にリスペクトを欠いたバラエティ的なノリでは決してないのだ。

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