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日刊サイゾー トップ > ビジネス  > 中国大富豪のポッドキャスト
NewsPicks後藤直義の「GHOST IN THE CHINA」

中国版「24時間戦えますか?」を支える大富豪たちのポッドキャスト

巨大企業創業者の成功術が聞ける!

 さて、前置きが長くなったが、私が密かにファンとして聴いているポッドキャストに「996」という番組がある。日本ではほとんど知られていないが、中国でイケイケの起業家たちが、毎回ゲストとして集まってくる。

 ここで放送される内容が、ものすごく面白い。登場する人たちの多くが、人生を996で生き抜いてきた人ばかりだ。

 例えば、ZOOM(ズーム)の創業者であるエリック・ヤン。

 このZOOM社は、今やスカイプやグーグルハングアウトといった有名サービスを押しのけて、世界中で使われるオンライン会議サービスの成長株だ。

 番組で、彼は単なる「英語のできない中国人」に過ぎなかった頃から、どのように996生活によって生き残ってきたかを生々しく語っている。

 中国で生まれて、まともに英語も話せなかったにもかかわらず、シリコンバレーに憧れて渡米。8回にわたってビザ申請を却下されたにもかかわらず、おそるべき執念によって、9回目のビザ申請でなんとかアメリカにたどり着いている。

 14年にわたってIT企業で働きまくった後に、彼が作り出したサービスこそ、ZOOMというとても便利なオンライン会議システムだった。

 そのきっかけになったのは1987年、中国の山東科技大学の学生だった頃、大好きな彼女に会いに行くために、片道10時間の鉄道旅行をしていたことだったという。列車は人で溢れ、トイレの中にまで旅客がすし詰めになっていた。

「それでも夏と冬、1年間に彼女と会えるのはたった2回だった。いつかスマートな端末で、遠くにいる彼女とお話ができたらと夢想してたんだ」(エリック)

 そんな10代の頃の中国での記憶が、シリコンバレーに裸一貫で渡ったヤンの心の中に残っており、それが40代の「中年起業」につながったと説明している。

 2019年4月、このZOOMが米ナスダックに上場すると、投資家たちから買いが殺到。今では2.6兆円の時価総額をほこる企業となっており、エリックはシリコンバレーでも例外中の例外となる、中国系創業者として億万長者になった。

 ちなみに学生時代、会いたくても会えなかった遠距離恋愛の相手の彼女は、今の奥さんになっている。そんな中国人起業家たちの生々しいエピソードと、その生存戦略が音声を通して伝わってくるのだ。

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