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文科省の癒着疑惑も!? 萩生田文科相「身の丈」発言で炎上の入試改革「国語・数学は導入の方向」

指摘された採点の公平性対策は明らかにされず

 その採点という重要な業務が“民間業者への丸投げ”となれば、批判を招くのも当然の事態だろう。最初に“火を噴いた”のは、英語民間試験の活用だった。10月24日、国会で英語民間試験の活用について問われた萩生田光一文科相は、「“身の丈に合わせて”受験してほしい」と答弁し、批判が殺到した。結局、10月28日に萩生田文科相は、「受験生に不安を与えかねない説明不足な発言であった」と謝罪するに至った。

 しかし、英語民間試験の活用に対する批判は収まらず、11月1日に文科省は英語民間試験の活用の20年度の導入を見送ることを発表した。11月8日、萩生田文科相は、「文科省が民間試験団体の取り組みを十分に指導・監督できる制度設計になっておらず、連携と調整が十分ではなかった。各大学の活用内容、情報提供不足などの準備の遅れにつながった。公平でアクセスしやすい仕組みはどのようなものなのか、検討会議を設けて、今後1年をめどに検討して結論を出したい」と答弁している。

 英語民間試験の活用は延期されたが、国語・ 数学での記述式の導入については、20年度の大学入学共通テストから導入する方向で進んでいる。同テストでは、国語と数学でそれぞれ小問3問の記述式問題が出題され、採点はベネッセなど教育産業の大手民間事業者に委託する仕組みに変更はなく、プレテストで問題が指摘された採点の公平性などについての対策は明らかにされていない。

 なぜ、英語民間試験の活用だけが延期され、国語・ 数学での記述式の導入は実施にこだわるのか。教育利権を持った国会議員や文科省と民間業者との“癒着”まで取り沙汰されている始末だ。

 今や、4年制大学への進学は高校生の半数以上に上る。進学率は90年頃は25%前後だったが、現在では50%を超えている。少子化の影響を受け、生徒数の減少による経営難に陥る大学もあり、ほとんど無試験で入学を許可する大学もある。

 教育は国の礎だ。こうした時代背景も考慮し、大学入試のあり方を考えるべきであり、大学そのもののあり方も変革していくべきだろう。大学入試は受験生の人生を決める一つの大きな要素でもある。大学入試は誰のためのものなのか、大学はどうあるべきなのかという点を踏まえた入試制度改革を行うべきだ。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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Twitter:@tohrusuzuki

鷲尾香一の ”WHAT‘S WHAT”

わしおこういち

最終更新:2019/12/14 12:12
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