2年前までは大バッシング……横浜F・マリノスが優勝できた理由とは?
#サッカー #Jリーグ #横浜F・マリノス
2019年のJ1リーグは、横浜F・マリノスの優勝で幕を閉じた。そんなマリノスに対し、多くのメディアから称賛の声が上がっている。守備的なサッカーばかりのJリーグの中で、アンジェ・ポステコグルー監督が志向するポゼッションサッカーは一線を画しており、「結果ももちろんだが、内容が素晴らしい」と賛辞が送られているのだ。
しかし、マリノスといえば、2年前までは大バッシングを受けていた。17年、エリク・モンバエルツ監督の戦術や若手起用で出場機会が減った中村俊輔が移籍したことで、マリノスのフロントに対し、ファンやメディアから批判の声が上がった(参考記事1)。さらに、翌18年にはポステコグルー監督を招聘したフロントに対し、「どうやってチームが強くなっていくのかイメージを描けなかった」というコメントを残して背番号10番の主将・齋藤学も移籍。2年続けてサポーター人気のある選手が移籍したことで、またまた矢面に立たされた(参考記事2)。
「ほとんどのサッカーライターたちは、選手コメントのみで記事を構成します。そのため、選手の移籍に関する記事は、どうしてもフロントに批判的なものばかりになります。そしてサポーターは、そのまま記事に乗っかる。記事ではフロントが目指すビジョンに言及されていないですし、サポーターのリテラシーも低い。だから、フロントへの大バッシングにつながるんです」(サッカージャーナリスト)
確かに、モンバエルツ監督の若手起用は成功だった。彼に見いだされた喜田拓也は今季のキャプテンを務めるまでに成長し、J1リーグ走行距離ナンバー1のスタミナでチームを支えた。また、俊輔は移籍以降、マリノスでのパフォーマンスを超える活躍を見せられていない。それは齋藤も同様だ。
ただし、モンバエルツ監督と選手のコミュニケーションがうまくいっていなかったのは事実で、戦術も守備に重きが置かれ、退屈な部分もあった。若手が育ったことを受け、マリノスのフロントは、世代交代の改革からチーム戦術の構築に進む。そこで、オーストラリア代表にポゼッションサッカーを導入し、チームに軋轢も生まなかったポステコグルー監督に白羽の矢が立った。そして、初年度で攻撃を構築し、2年目で中盤の守備を整え、優勝という結果を出した。まさにフロントが描いたロードマップ通りである。
大バッシングを受けてもブレず、改革を推し進めたマリノスの功績こそ、評価されるべきであろう。
(文=TV Journal編集部)
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