日韓関係の悪化がク・ハラを追い詰めた? ジャニーズをお手本とした韓国芸能界の非道な仕組み
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
文春の今週の注目記事は恒例の「ミステリーベスト10」だろう。国内部門の1位は予想通り、横山秀夫の『ノースフライト』(新潮社)だった。ミステリーとしてよりも、上質な文学作品という趣だ。
2位は奥田英朗の『罪の轍』。奥田にはやはり東京五輪を背景にした『オリンピックの身代金』という傑作がある。3位は今村昌弘の『魔眼の匣の殺人』(東京創元社)。今村は『屍人荘の殺人』が1位になったことがある。私は読み始めたが、ゾンビがうじゃうじゃ出て来るところで本を閉じた。私好みではない。
4位は米澤穂信の『Iの悲劇』。5位に相沢沙呼の『medium霊媒探偵城塚翡翠』(講談社)。
私のお薦めは8位の高村薫の『我らが少女A』だ。
海外部門の1位は、去年も『カササギ殺人事件』で1位になったアンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』(創元推理文庫)。まだ未読だが、読んでみよう。
2位はスチュアート・タートンの『イヴリン嬢は七回殺される』(文藝春秋)。3位がピーター・スワンソンの『ケイトが恐れるすべて』(創元推理文庫)。
4位に劉慈欣の『三体』(早川書房)が入っている。7位には陳浩基の『ディオゲネス変奏曲』(ハヤカワ・ポケット・ミステリー)、9位に雷鈞の『黄』(文藝春秋)が入っているのが今年の特色であろう。
中国、香港と、アジアのミステリー作家たちの作品が読まれるのはいいことだ。中でも『三体』は傑作だ。
5位はドン・ウィンズロウの『ザ・ボーダー』(ハーパーBOOKS)。
お次はポストから。
「安倍君は自分の人事、あるいは人を信用するということについて、厳しい反省をした。押し寄せた感情を正直に出し、人情家の一面が露呈した。ただ、総理として慣れていれば、個人的感情を抑えることができたかもしれない」
安倍首相の「桜を見る会」の相次ぐ問題が露呈する中、101歳で亡くなった中曽根康弘元総理の最後の、安倍への箴言に聞こえるが、そうではない。
この言葉は、今から12年前、「消えた年金問題」や同じく閣僚の不祥事に苦しんでいた第一次政権時代の安倍首相に向けて、中曽根が語った言葉だったという。
この時、ポストは中曽根に取材を申し込んで、「安倍晋三君への叱咤」というタイトルで掲載したそうだ。
その時、中曽根は安倍の弱点をこう喝破したという。
「小泉(純一郎)君はいつも鎧兜を身につけていたが、安倍君は普通の着物をきているだけだ。なにしろ新聞記者諸君は雨あられのように弾を撃ってくるから、総理大臣たるものその心構えがいる。安倍君はまだ経験が足りないようだね」
中曽根はいい意味でも悪い意味でも、ウルトラ保守であった。しかし、彼は戦争への嫌悪感は隠さなかった。
常々、こういっていた。
「われわれの年代というのは、戦争を経験し、敗戦の屈辱をなめて、早く米軍を返して独立国家を回復しようという一念がありました。そして政界に入り、あるいは学界に入り、財界に入り、文学界に入って一生懸命、努力しあった。
ところが、今の政治家たちは、私たちからいわせれば実務的優等生で、臨床的対応はやっているけれども病理学を知らない人が多い。それだと結局、官僚的優等生になってしまう。先輩がいったことや前の法制局長官がいったことを遵守していかなければ国の秩序が乱れてしまう、自分の地位が危なくなってしまうという考えが先行する。
そして、戦後50年経って冷戦が終わり、各国がソ連、アメリカの陰でうずくまっているのではだめだと、おのれのアイデンティティを回復しようとし始めた。その自覚の中で日本だけが漂流してきた。国民のほうは、少しずつ国家というものに目覚めてきていますけどね」(04年1月16日号、石原慎太郎との対談)
まあ、中曽根のように骨っぽい政治家では、今のメディアは太刀打ちできないが、安倍のようなへっぴり腰なら、反論する前に逃げてしまうから、メディアはもっと攻め込むべきである。
さて、SNSを通じて、見も知らない男に誘われ、のこのこついていく女の子が各地で続発していることは、先週触れた。
新潮はその続報として、情報セキュリティー会社「デジタルアーツ」がやっている「未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」の驚くべき結果を報じている。
この調査は、2011年に始まりすでに12回を数え、最新の調査は今年4月、10~18歳の618人を対象に行われたという。
その中に「SNSなどのネットで知り合った人と、会った、会いたいか」という質問に、小学生は50.8%、中学生は44.8%、高校生は59.8%が「イエス」と答えているのである。
女子高生に限ると約70%まで跳ね上がるという。さらに驚くのは、ネット上のどういった事件で当事者になりうるかという質問に対して、「誘拐・拉致・乱暴・殺害」になりうると答えたのは、小学生が6.3%、中学生が2.9%、高校生が9.7%しかいなかったそうだ。
「SNSで知り合った人とリアルで会わないほうが不自然で、会ったからといって身の危険に晒されることはないだろう」(新潮)と考えていて、17年に座間市で起きた9人の「強盗・強制性交殺人事件」など、まったく影を落としていないようだ。
親も含めて、この「無知」を正さない限り、第2、第3の座間事件が起こるのは間違いない。しかし、いい解決方法はなかなか見つからないだろうな。
ところで、週刊文春の部数の落ち込みが止まらない。ABCによる2019年1月~6月の販売部数は28万7241部で、前期比91.53%、前年同期比だと85.58%という惨憺たるものだ。
さらに酷いのは週刊新潮だ。20万部を切り19万7735部で、前期比で92.45%、前年同期比では何と78.65%である。週刊ポストも19万401部と下げ止まらない。
週刊現代だけが20万8014部で目減りが一番少ない。他ではフライデーが8万865部、週刊朝日が7万3914部、FLASHが5万1943部、サンデー毎日が3万7971部である。
スクープを売り物にしている文春、新潮がともに大きく部数を落とし、年金、病院、薬、ヘア・ヌードグラビアが売りの現代が横ばいというのは、週刊誌という媒体の役割が終焉を迎えつつあると思わざるを得ない。
「『文春オンライン』の11月の純PV(自サイトでのページビュー)が、月間3億495万PV(GoogleAnalytics調べ)を記録し、開設以来初の3億PV超えを達成した。外部配信先での閲覧を加えた総PVは月間6億2703万PV。UU(自サイトでの閲覧者数)は月間3867万UUを記録。純PV・総PV・UUともサイト開設以来最高の数字である」(【文徒】2019年(令和元)12月5日より)
ネットに注力すればするほど紙の部数が落ちていくというジレンマから、文春は抜け出せるか。注目して見ていきたい。
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