夢のスーパーカーを開発した男のトンデモ人生! 仕事のためなら手も汚す『ジョン・デロリアン』
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この人がいなかったら、大人気SF映画はずいぶんと違ったものになっていたに違いない。そう思わせるのが、天才的自動車エンジニアとして活躍したジョン・デロリアンだ。そう、彼の名前がつけられた「デロリアン」は、わずか8000台しか生産されなかった幻の名車。SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)に登場するタイムマシンのベース車として、広く知られることになった。劇映画『ジョン・デロリアン』(原題『Driven』)は、ジョン・デロリアンを主人公にした実録ドラマ。だが単なる偉人伝ではなく、夢を実現するためなら自分の手を汚すことも厭わなかった裏の顔にもスポットライトを当てている。
ジョン・デロリアンは1925年の米国デトロイト生まれ。フォード社で働いていた父親はアルコール依存症で、決して裕福ではない家庭で育った。ゼネラルモーターズ社に入ったジョンは、スポーツカーの名車として親しまれることになるポンティアックGTOを生み出し、大成功を収める。ポンティアック・ファイアーバードの開発も彼が指揮した。1960年代に人気を博したマッスルカーの生みの親だった。
ジョンは40代の若さでゼネラルモーターズの副社長に就任し、次期社長と目される。誰もが羨むような年収と地位を与えられながらも、彼はあっさりと退職。大企業の経営者になることよりも、エンジニアとしてまったく新しいコンセプトの新車を開発する道を選ぶ。新車「DMC-12」こと「デロリアン」のドアは横ではなく、上下に開き、両ドアが開いた様子はまるで翼を広げているよう。洗練されたデザインを含め、未来を先取りした夢の車だった。
映画『ジョン・デロリアン』はジョンがゼネラルモーターズを去り、デロリアン開発に熱中していた1977年から始まるドラマとなっている。本作をよりユニークなものにしているのは、カリフォルニアの豪邸で暮らすジョン(リー・ペイス)の隣人であるジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)の視点から描いているというところだ。
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