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熱血!”文化系”スポーツ部

NHK-BS1『球辞苑』徳井義実不在のピンチをチャンスに変えた、ナイツ塙と岡田圭右

NHK公式Twitterより

 今年もまた、プロ野球ファンがオフを乗り切るために欠かせない番組が帰ってきた。12月1日深夜、「初の生放送&2時間特番」という形でスタートしたNHK-BS1『球辞苑~プロ野球が100倍楽しくなるキーワードたち~』だ。

 プロ野球シーズンオフの恒例番組も、もう6年目。究極の野球辞典『球辞苑』の編さんを目的に、野球界で話題となったキーワードを、選手・研究者のVTR証言を基にスタジオトークで研究していく、というこの番組。過去5年で、すでに47ものキーワードを扱ってきた。

 実は本コーナーにおいて、3年前にも『球辞苑』について紹介したことがある(参照記事)。そのときに記した番組の特徴説明が我ながらわかりやすいと思うので、もう一度記しておきたい。

《ランチビュッフのように、企画もタレントもとにかく数を並べようとする多くのスポーツ特番と違い、『球辞苑』の魅力は「一品」勝負であること。そしてその「一品」が、本来であればメニューの裏面に小さく載っているようなキーワードばかりなのがたまらない。(中略)自ら重箱の隅を突いていくようなこの「狭さ」こそが『球辞苑』の肝だ。狭い分、とにかく深く深く掘り下げていく》

 この魅力はそのままに、今回、見事に「ピンチをチャンスに」変えて、また新たなパワーを得たように思う。

 ピンチとはもちろん、MC(編集長)を務めてきたチュートリアル・徳井義実の、税の申告漏れ騒動による活動自粛だ。番組に出られない徳井編集長に代わって、これまで「記者」として番組レギュラーだったナイツ・塙宣之が「編集長代行」に就任。そして、ますだおかだ・岡田圭右が新たに「記者」として番組に加わった。

 まずは、さすがの塙だ。番組冒頭から「我がジャイアンツも状況として“深刻”な……あ! “しんこく”という言葉を使ってしまいました」「今日は緊張して“ぜいぜい”言ってしまいそう……あ! “ぜい”という言葉を使ってしまいました」「今日は“もれなく”生放送……あ! “もれなく”という言葉を使ってしまいました」という“言い訳”とともに何度も謝罪。さらに、ニュースを挟んだ後半戦冒頭にも「よしみー、見てるかー」と挨拶。「こらこら、“よしみ”って誰よ」という岡田のツッコミに対し、「え? 中日の吉見一起投手ですけど、何か?」とボケて見せ、徳井の例の騒動をしっかり笑いに変えてくれた。

 これをちゃんとシーズン初回の番組冒頭でやってくれたことが視聴者に対しての一番の「誠意」だと思う。隠せばいいってものじゃない。なかったことにするのも、これまでずっと見てきた視聴者を置き去りにする行為。その意味で、“最高の立ち上がり”と言っていいのではないか。

 くしくもこの日のテーマは「初回」。野球の試合において初回の入り方がいかに難しいか。最初に何を投げるべきか。バッターは最初に何を待つべきか……といった細かすぎる議題を掘り下げていったのだが、結局、「初回の入り方」に最も気を使っていたのが塙だった、というわけだ。

 そして、見事なキャスティングだと思ったのが岡田圭右だ。この日だけのゲストだったのか、今後もレギュラーとして出演し続けるのかは不明だが、岡田の存在はこの番組をしっかり引き締め、そして深みを持たせていた。

 まずは、番組を“回す力”に長けていること。そもそも、MC役になった塙は、本来であればボケ担当であり、番組に緩急をもたらす役のはず。実際、この日の初回放送では、“仕切り”という部分では機能していない場面もあった。

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