ヤフーとLINEのAI恋愛協奏曲~孫正義氏とNAVER李海珍会長の接点について考察
#Yahoo! #孫正義 #LINE
ヤフーとLINEの経営統合のニュースが世間を賑わせている。メディアによる初報、そして両社による正式発表が行われて以降、報道はさらに過熱。日本経済新聞や多くの経済紙、テック系サイト、また一般メディアに及ぶまで、経営統合による株価や事業ポートフォリオ(ECや決済などなど)の将来性について躍起になって分析を加えている。とはいえ、将来的に両社の命運がどう転ぶかは誰も分からない。おそらく、当の本人たちも想像しきれてないはずである。
孫正義氏とNAVERのトップ・李海珍会長の接点をクローズアップ
そこで本稿では、経営統合をひとつのドラマと見立て、その“伏線”について振り返ってみたい。それは、両社の行く末を占う上で非常に重要な伏線、つまり今回、直接的には決断には関わっていないとする孫正義氏と、LINEの親会社・NAVERのトップである李海珍会長の接点について改めて注目する。
題して「ヤフー×LINE経営統合~AI恋愛編~」である。
「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ――。」
経営統合に基本合意したヤフーの親会社・ZホールディングスとLINEは、11月18日に緊急記者会見を開催。その際、プレゼンテーション用のスライドには上記のような標語が掲げられていた。
人工知能(AI)という言葉で思い出されるのは、Zホールディングスの親会社・ソフトバンクグループを束ねる孫正義氏の、ここ数ヶ月間にわたる発言の数々である。孫氏は今年7月上旬、韓国を訪問。日本でもお馴染みの顔となった文在寅大統領など、要人を歴訪している。その際、孫氏はこんな発言を残している。
「これから韓国が集中しなければならないのは、一にも人工知能、二にも人工知能、三にも人工知能だ」
「韓国はインターネット強国だったが、これからはAI強国を目指すために努力しなければならない」
「AIは人類歴史上、最大級の革命をもたらす」
「日本と韓国は米国・中国に比べてAIへの対応が遅かった」
孫氏は1998年に韓国を訪問し、金大中前大統領と会った際に「一にもブロードバンド、二にもブロードバンド、三にもブロードバンド」と強調したという逸話が残っている。2012年には当時、大統領候補だった文氏に会い「スマートグリット」について力説したという。それから約7年後、今度は人工知能へのフルベットをこれでもかというほど推した形だ。
余談だが、その流れのなかで文大統領も孫氏にひとつの“頼み事”をしている。それは、世界的なベンチャー投資家である孫氏に「国内AI企業へ積極的に投資をして欲しい」というものだった。韓国の人口は日本の半分以下。そのため国内市場の規模が限られている。そこで、ソフトバンクグループが持つ世界的なネットワークを使って、世界に飛び立つサポートをして欲しいというのが文大統領の言葉の趣旨だ。
さて興味深いのは、同日7月4日に行われた非公開の夕食会である。参加したのは、サムスンの経営トップ・李在鎔氏、ヒュンダイ自動車の鄭義宣氏、LGグループ会長・具光謨氏など、韓国経済のキープレイヤーとなる財閥関係者たちだ。その際、ふたりの新興企業トップも参席した。ひとりはオンラインゲーム運営会社NCSOFTの金沢辰CEO、そしてもうひとりがLINEの親会社NAVERの李海珍会長だった。
そこでどんな話が行われたかは明らかになっていない。ただ、あれだけAIトークで盛り上がった後のことだ。しかも、グローバル企業の経営トップたちの会合でもある。AIの話題が夕食会の“肴”になったとしても不思議ではない。
さらに気になるのは、孫氏と李会長がどんな会話をしたのかだ。想像を超えて妄想レベルになるが、ふたりの間に仮にやりとりがあったとしたら、孫氏は李氏というひとりの人間に対してシンパシーを感じることが多かったことだろう。そして、それは後の「ヤフー×LINE経営統合」の“伏線”になったのではないか。そんな筋書きであれば、非常にワクワクさせてくれる話である。それは一体なぜか。
李氏はあまり経営の表側やメディアに出ないことで有名な経営者で、韓国メディアからは「生きているか分からない」と揶揄されるほどの人物だ。端的に言えば、あまり“ガツガツ”したイメージがなく、スマートな人格者という評判である。だが、その本質は超攻撃的かつ、世界の最先端を読む能力に長けた新世代の韓国を象徴する経営者でもある。
NAVERの歴史をみると、1999年のNAVERコム創業から15年間で20回以上のM&Aを繰り返して外形を拡大してきた。これは2000年前後の韓国社会では異例なことで、その舵取りをしてきたのが李会長だ。韓国IT記者のひとりは次のように話す。
「NAVERコム設立当初、資本金は5000万円ほど。そのため投資や合併を非常に攻撃的に行った。一方で、NAVER自身も投資を受け続けたため、財閥など他の企業とは異なり、李会長自身が保有する株式が非常に少ないのも特徴です」
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