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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.558

生きる上で大切なことはすべてリングから学んだ 最強家族伝説『ファイティング・ファミリー』

現代の「虎の穴」ではメンタル面も問われることに

「WWE」のスーパースター、ドウェイン・ジョンソンが本人役で出演。彼もまたプロレス一家で育ったという経歴の持ち主。

 もともとはペイジとその家族の様子を追った英国BBCのドキュメンタリー番組だったが、視聴したドウェイン・ジョンソンが感銘を受け、みずからプロデューサーを買って出ての劇映画化。ペイジ役のフローレンス・ピューはマーベル大作『Black Widow』(2020年公開)に出演決定、家族想いの優しい兄ザック役のジャック・ロウデンは戦争映画『ダンケルク』(17)で注目を集めるなど、英国の伸び盛りの若手俳優たちがキャスティングされている。また、トップレスラーとして長年活躍したドウェイン・ジョンソンのプロデュース作だけに、プロレスシーンは手抜きなしのリアルな仕上がりとなっている。

 中でも「WWE」でのデビューを目指す練習生たちがしのぎを削るフロリダでのキャンプシーンは、本作の大きな見どころだ。地元では怖いものなしだったペイジだが、自分が井の中の蛙だったことを思い知らされる。世界各地から有能なアスリートたちが集まったこのキャンプは、梶原一騎原作漫画『タイガーマスク』の「虎の穴」さながらの恐ろしい場所だった。鬼トレーナーのハッチの指導のもと、ハードトレーニングについていけない者は次々と退場を命じられる。

 キャンプではプロレスラーとしての体力だけでなく、メンタル面も問われる。マイクパフォーマンスのテストで、ペイジは自慢のラップ調でのマイクアピールを披露するも、ハッチからは「時代遅れ」とけなされてしまう。観客からの心ない野次にうまく対応できるかどうかも、プロレスラーにとっては重要な資質だ。モデルやチアガール出身のセクシーなディーバ候補生たちとの間に、ペイジは溝を感じ、どんどん落ち込んでしまう。トレーニングなかばでの里帰りを余儀なくされるペイジだった。

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