恋愛から大気汚染、猛暑まで……中国で保険市場が急拡大「保険金は支払われてナンボ!」
#中国
不動産市場や金融市場を過熱させてきた、中国人のハイリスク・ハイリターンを好む国民性にも、変化の兆しが現れ始めているのだろうか? ここへきて、保険市場が急成長している。中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の公表データによれば、昨年の生命保険の収入保険料総額は約3兆8,000億元(約61兆円)となり、前年比の伸び率は過去最高にして世界最高の約42%を達成。すでに2007年に米国に次ぐ世界第2位となっており、昨年もその座を守った格好だ。
成長しているのは生命保険だけではない。中国では、日本では聞きなれない一風変わった保険も、数多く登場している。
たとえば、15年10月に登場した「恋愛保険」もそのひとつ。中国メディア「金羊網」(11月8日付)によると、この保険は中国国有企業である中国人寿保険から販売されており、月額299元(約4,700円)で、病気や事故の際に支払われる医療保険に加え、加入後3~10年以内に入籍し挙式を行った場合、1万本のバラ、もしくは1万元(約16万円)の祝い金が送られるという内容となっている。
実際、この保険に加入し入籍した男性が、2万元(約32万円)の祝い金を手にした事例もあるという。男性は恋愛保険の中でも最も高額の月額495元(約7,900円)コースに加入後、交際していた女性とゴールインしたという。
男女交際や結婚に際し、男性の経済的負担が大きい中国ならではの保険といえるが、この恋愛保険、残念ながら現在は販売停止となっている。中国国内の保険業を管理監督する銀保監会が「保険会社は本来の保険の性質を有さない保険商品の販売は行うべきではない」と通達を出したためだ。
中国で社会問題となっている大気汚染を対象にした保険が話題になったこともある。中国保険大手・平安保険が14年に取り扱いを開始した「スモッグ保険」がそれだ。この保険は、大気汚染の指数を示す空気質指数が300(健康に良くない)を5日連続で超えた場合、加入者に300元(約4,800円)を支払うというものだ。同年には、中国初のネット保険会社・衆安保険から、気温が37℃を超えた日は保険加入者に5元(約80円)が支払われる「高温保険」も登場している。
ただこれらの保険は、「もしもの時」のための備えではなく、保険金が支払われることを期待して加入する人がほとんどだったため、「ギャンブルと変わらない」との批判を受け、現在は販売停止となっている。
中国人にとって、保険は安心のために入るものではないようだ。
(文=青山大樹)
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