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エッジ・オブ・小市民【5】

その“夢”は現実に何をもたらすのか——嘘と混乱の東京オリンピック

招致の段階からデタラメだった東京オリンピック

 2013年9月8日の招致決定以来、今回のオリンピックに関してはとにかくろくな話がない。というか、信じられないレベルのろくでもない話ばかりが底抜けに続いている状況だ。

 そもそも招致の段階からいろいろとデタラメだった。当時、東京都知事だった猪瀬直樹氏は「世界一カネのかからない五輪」と誇らしげだったが、当初約7340億円とされていた開催費用は、いまや関連予算を含めると3兆円オーバーの見込み。当初の見積もりの4倍だ。いくらなんでも見通し甘すぎではないか。

 そして、後になって数多くの問題を引き起こすことになった東京の会期中の気候に関するアピール。「天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」などと言っていたわけだが、東京都民なら誰でもわかるように大嘘である。東京の夏は死人が出るほど暑い。

 さらに、今回の招致をめぐっては贈収賄疑惑まで出てきた。当時の招致委員会理事長だった竹田恒和氏が東京への賛成票を不法に買ったとしてフランス司法当局の捜査対象になっているという。もう何から何までインチキである。

 その後も東京オリンピックをめぐるトラブルや珍騒動は手品師の口から出てくる万国旗のように次々と終わりなく発生していった。ざっと振り返ってみたい。

 まずケチがついたのが、公式五輪エンブレムの盗用問題。すったもんだの末に当初の佐野研二郎氏による当初のデザインは却下されて再公募するハメになった。

 新国立競技場の建設も最初から波乱続きだった。すでに決定していたザハ・ハディド氏案を「予算がかかりすぎる」という理由で急遽撤回。全体予算が当初の予定から4倍にも膨れ上がり、新国立競技場建設をめぐる混迷を思い返せる今となってみれば、「むしろ、そのままでよかったんじゃないか」という気がしなくもないが、結局、新たな設計計画で建設が進められることになる。その直後、聖火台スペースをつけ忘れたと聞いたときはさすがに笑うしかなかった。建設用の木材の無償提供呼びかけをして批判されまくったり、建設作業員の過労自殺という取り返しのつかない悲惨な出来事も起きたりしている。

 そんなこんなで完成が間近に迫ってきた新国立競技場だが、五輪終了後の“後利用”についてあまり考えずに作ってしまっているため、巨大な維持費の採算を取れる見通しは立っておらず、ただ赤字を垂れ流す“五輪の負の遺産”となることがほぼ決まっているようだ。なんともやりきれない話である。

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