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エッジ・オブ・小市民【5】

その“夢”は現実に何をもたらすのか——嘘と混乱の東京オリンピック

イメージ画像:出典/applekun4649

 前代未聞の大失敗に終わった『FYRE』という音楽フェスティヴァルがある。その惨状をテーマにしたNetflix制作・配信のドキュメンタリー『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』を見たという人も多いだろう(Huluでも同テーマで別作品のドキュメンタリーが配信中)。

『FYRE』は「バハマの離れ島で開催されるラグジュアリーな超豪華フェス」という触れ込みで、SNSで強い影響力を持つセレブやインフルエンサーにガンガンPRさせまくり、大きな話題を呼んで高額なチケットも発売直後に完売。ところが、運営がとにかく杜撰で雑でテキトーだった。規模がふくれ上がっていく一方で、アーティストのブッキング、会場設営や観客の宿泊施設、食事、交通手段の手配など、すべてがデタラメなまま強引に推し進められ、最終的に開催当日になってすべてが中止。期待を胸にやってきた観客はカオス状態の会場に放置された。結果、ソーシャルメディアで大炎上を遂げて、逮捕者まで出る始末となったのである。

 開催当日までには実にさまざまな問題が発生するわけだが、主催者であるビリー・マクファーランドは場当たり的な対応しかせず、面倒なことは下の人間に投げっぱなし。『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』はそのひどさを余すところなく映し出す。見ているうちに「こんなの失敗するに決まってるだろ」と呆れ果て、振り回されっぱなしの現場スタッフに同情して思わず胃が痛くなりつつ、他人事だから笑えてしまう。「いやあ、本当にひどい話だ」と。ただ、なんだかこの惨状は実はちょっと他人事でもないような気もする。今、私たちは『FYRE』をはるかに上回る規模のイベントが歴史的な大失敗へと突入していく過程をリアルタイムで経験しているのではないか。そう、東京オリンピックである。

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