岡村隆史がビビる松本人志をイジるフワちゃん――お笑い界の新トライアングル
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フワちゃん「松ちゃんって、基本的にトガってんじゃん」
先述のように、日本一周企画には3人の仲の良さを印象付けるシーンも随所に織り込まれる。また、収録は2週間と長期にわたる。当然、一緒にいなければならない時間も長い。そんな企画を、仕事とはいえ、仲がこじれている元親友とやらなければならない。中居は当時を「もう地獄だよね」と振り返る。
さらに、02年の日本一周のクライマックスは、大阪ドームで行われたSMAPのコンサートに岡村が乱入するシーンだった。当然、岡村には事前にダンスを教わる時間が必要だ。そのコーチ役を、中居がやらなければならなかったりもした。それがまたお互いにツラい。それぞれ周囲のスタッフに愚痴を漏らすものの、番組の総合演出は2人の事情を知りつつも「プロとしてできない?」の一点張りだった。中居はこの経験を次のように回顧する。
「(今は)アマチュアみたいなタレントだけど、(今後)プロとしてやっていくためには、っていう(総合演出からの)教えだったかもしれない」
冷戦状態にあった2人の仲はその後、元に戻る。きっかけは、ナイナイと中居が総合司会を務めた04年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)で、岡村が中居の仕事への取り組み方に感服したことだったという。絶交中の仕事を「プロとして」乗り切った彼らを再びつないだのは、やはり「プロとして」仕事に向き合う姿勢だったのだ。仕事上の関係と、それを離れた親友の関係、そのはざまにあるような間柄。そんな彼らの“特別な”関係が出来上がったのは、このときだったのかもしれない。
18年の日本一周の旅の最後、岡村は中居に長い長い手紙を書く。その手紙は、こんな一文で締めくくられる。
「中居さん、『めちゃイケ』と一緒に22年間走り続けてくれて、ありがとうございます。また、友だちの少ない僕の友だちになってくれて、ありがとうございます」
さて、上のエピソードのもうひとりの登場人物・松本も、当時から大きく変わった。他の芸人を相手に「真剣」を振るう場面も少なくなった。そんなことをあらためて印象付けたのが、10日の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)だ。
この日、松本は『行列』に初めてゲスト出演した。で、松本に会わせたい人として番組が用意したのがフワちゃんだ。YouTubeで注目を浴びた芸人である彼女。スマホと自撮り棒を片手に、言動は常時ハイテンション、衣装はビビッドな色のスポブラだ。
この共演には既視感がある。90年代後半、『HEY!HEY!HEY!』(フジテレビ系)でのシノラーこと篠原ともえとの共演である。常時ハイテンションでダウンタウンに絡む篠原に対し、松本は彼女が持ってきた人形をセット裏に投げ捨てるなどといった塩対応をしていたと記憶する。
対して、今回のフワちゃんとの共演はどうだったか。フワちゃんは登場するなり松本に「人志松本~」と抱きつき、「Twitterフォローしてるよ」と声をかける。顔がぐにゃぐにゃに変形するアプリで一緒に写真を撮って「ダウンタウンの漫才ぐらい面白い」と言い放つ。そんな彼女に対し、松本は終始なすがままだった。
そしてフワちゃんは、ある提案する。松本には、もっと周囲がとっつきやすいと思われる存在になってもらいたい。だから、私とおそろいの格好になりませんか? で、松本はスポブラに着替えさせられるのだけれど、そういえば以前、長嶋一茂も別の番組で同じような目に遭っていた。
その流れの中で、フワちゃんは松本のとっつきにくさを次のように表現したのだ。
「松ちゃんって、基本的にトガってんじゃん」
岡村と中居は、「トガって」いた松本をきっかけに絶交した。そんな松本はいま、若手から「トガって」いることをイジられるまでになっている。時間は流れ、関係は変わる。そんなありふれたことを、一茂と同じ扱いを受けている松本を見ながら、しみじみと思った。
(文=飲用てれび)
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