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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『i-新聞記者』忖度とどう闘う?
『i-新聞記者ドキュメント-』公開記念 森達也監督×河村光庸P対談(後編)

日本社会全体を覆う「忖度」と、どう闘う?

『宮本から君へ』助成金問題の真相

「森監督とは前から仕事がしたくて、私から声を掛けさせてもらった」と話す、河村プロデューサー。

――最後になりましたが、先ほども話に出た『宮本から君へ』に対して、文化庁が助成金の交付を取りやめた問題について。安倍政権への「忖度」が働いたと河村プロデューサーは感じていますか?

河村 わかりません。わかりませんが、「忖度」が働く構図ではあります。でも、それは「河村を潰してやろう」という誰かの主体的な意図があって、助成金の交付が取りやめられたわけではないと思います。この問題で重要なのは、「表現の自由」に抵触するということ。憲法違反になることを考えずに、役人は助成金の不交付を決めてしまった。私個人が狙われたとかそういうことではなく、もっと大きな問題です。

――ミキ・デザキ監督のドキュメンタリー映画『主戦場』は一部の出演者が上映差し止めを求め上告中であることから、「KAWASAKIしんゆり映画祭」では上映中止になりかけるなど、日本社会全体を「忖度」が覆っているように感じられます。

 この闘いのラスボスは「空気」ですよ。空気が相手だから、闘いようがありません。

河村 ラスボスは空気! うまいこと言うなぁ(笑)。空気が相手なら、自分たちで新しい、熱い空気を生み出していくしかないんじゃないですか? マスメディアが果たす責任は、大きいですよ。

(取材・文=長野辰次、撮影=名鹿祥史)

『i-新聞記者ドキュメント-』

監督/森達也 企画・製作・エグゼクティブ・プロデューサー/河村光庸
出演/望月衣塑子
配給/スターサンズ 11月15日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
(c)2019 「i −新聞記者ドキュメント−」製作委員会
https://i-shimbunkisha.jp

●森達也(もり・たつや)
1956年広島県生まれ。92年にテレビドキュメンタリー『ミゼットプロレス伝説 小さな巨人たち』でディレクターデビュー。テレビドキュメンタリーとしてオウム真理教の信者たちを取材した『A』は所属していた制作会社から契約解除を通告されるも、同作は98年に劇場公開された。2001年に続編の『A2』を公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞・市民賞を受賞。11年には綿井健陽、松林要樹、安岡卓治らとの共同監督作『311』を発表し、賛否を呼ぶ。16年に公開された『FAKE』も大きな話題に。著書に『放送禁止歌』(光文社)、『オカルト』(角川書店)、『下山事件(シモヤマ・ケース)』(新潮社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)など多数。

●河村光庸(かわむら・みつのぶ)
1949年東京都生まれ。89年にカワムラオフィス、94年に青山出版を設立。98年にはアーティストハウスを設立し、映画への出資・配給を始める。『ブレアウィッチプロジェクト』(99年)などの日本配給を手掛けた。2008年に映画配給会社「スターサンズ」を設立。韓国のインディペンデント映画『息もできない』(08年)を大ヒットさせたほか、エグゼクティブ・プロデューサーを務めた『かぞくのくに』(12年)、企画制作を担当した『あゝ、荒野』(17年)は国内の映画賞を総なめ。新井英樹原作コミックの実写化『愛しのアイリーン』(18年)、『宮本から君へ』も過激な描写で大反響を呼んだ。

最終更新:2019/11/15 14:04
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