トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 「モンスターアイドル」物足りない?
「モンスターアイドル」レビュー

『水曜日のダウンタウン』のクロちゃん新企画「モンスターアイドル」に感じる物足りなさ

クロちゃんが役割を察している時点でリアリティショーとして破綻

 この新企画、はっきり言って既視感がある。先月末に炎上を起こした『バチェラー・ジャパン』(Amazon Prime Video)を想起させる箇所がすごく多いのだ。

「MONSTER IDOL」は、クロちゃんがプロデューサーとしてアイドルを選抜する企画。つまり、圧倒的に優位なのがクロちゃん。女性陣がクロちゃんを狙うという構図は普通ならば不自然だが、プロデューサーとして権力を持っていれば自然。こうして、バチェラーシステムが滞りなく出来上がった。

 アイドルのプロデュースと言いつつ、クロちゃんが合格させているのは好みの女の子ばかりだ。そこには、おのおのが持つ歌唱力など何も影響しない。しかも、彼は「この企画で彼女を作りたい」と公言した。

 アピールタイムは、いわばバチェラーにおけるカクテルパーティ。バチェラーでは気になった女性を別席へ連れて行き、2人だけで会話するパートがある。不自然に用意されたソファ席は、まさにそれだ。「デートに行くならどこに行きたい?」という会話は、バチェラーで展開されたやりとりそのまま。自分への本気度が低い女の子は容赦なく落とし、一目惚れした女の子に権力を持つ男が恥も外聞もなく突撃する姿勢もバチェラーを彷彿とさせる。合格者にはクロちゃんから赤い合格通知が渡されるが、バチェラーでは赤いローズが渡された。つまり、そういうことなのだろう。

 ただひとつ残念なのが、バチェラーもテラスハウスも、本家のほうがパロディより数段面白いという事実である。本家にはクロちゃんに勝るとも劣らないクズが存在するし、本家のほうがパロディよりもはるかにドロドロしている。

「MONSTER IDOL」は、ヤラセではないと思う。でも、カメラがある時点で、クロちゃんが己の役割を察してしまっている。用意された「クズ」というレールにスタッフと同乗する共犯関係が、暗黙のうちに築かれている。当然だ。クロちゃんはプロの芸人なのだから。その点で「MONSTER IDOL」はリアリティショーとして破綻しており、物足りなさを感じなくもない。そして、視聴者の側も、それを薄々察している。

 テレビ界の中でも、とりわけエッジの効いた『水曜日のダウンタウン』制作陣のことだ。そんなことは百も承知だろう。これからどのように「MONSTER IDOL」が展開し、面白さを右上がりにしていくのか? 次回以降も追っていきたいと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

記事一覧

サイト:Facebook

てらにしじゃじゅーか

最終更新:2019/12/04 14:08
123
ページ上部へ戻る

配給映画