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サイゾー恒例ハイロー放談(2)

『クローズZERO』をどう更新するか? ヤンキーマンガ論から観る映画『HiGH&LOW THE WORST』(後編)

『クローズZERO』へのリスペクトを感じる劇中歌

藤谷 SALUくんの話が出たので音楽の話をしておくと、やっぱりLDHらしく今回もかっこいいですよね。映画のオープニングでEXILE THE SECONDの「TOP DOWN」がかかった瞬間、楽曲面でも『クローズZERO』に負けるつもりはないという意志を感じました。

加藤 あの曲、最初にギターがジャーンと鳴るじゃないですか。そのあとにダンダカダンダカ……って始まっていく。あの「ジャーン」がすごくTHE STREET BEATS(『クローズZERO』シリーズ主題歌担当)っぽいんですよね。

藤谷 そうそう、目配せを感じました。

加藤 ロックの文脈をリスペクトしつつ、ちゃんとセカンドの曲として出してくるのがすごくいいですよね。

編集部 芸能史オタクとしては、今の日本の芸能界の男の子の勢力図の中で強大な力を持っているのは、「ジャニーズ帝国」「LDH国」「小栗旬国」だと思うんです。ハイローの何がすごかったかって、役3年ほど前までは弱小だったLDH国が、その2国を打ち負かすようなものをつくった! っていう高揚感があった。でも今作は、小栗国の耕した畑があってのものという感じが少しあって、そこをどう判断していいのか、まだ迷っている部分があります。今作を小栗国王がどう思ってるのか。

藤谷 『今日から俺は!』で、滝谷源治の髪型をした床屋役でカメオ出演するというギャグをやっていたので……何も気にしてないのでは……。

加藤 ハリウッドで『ゴジラVSキングコング』に出るから、それどころじゃないですよ。学校で頂点極めてる場合じゃない、地球の生態系がかかってますから。

編集部 たしかに、小栗国王は今やハリウッドに向かっているからもう『クローズ』はやらないし、そういう意味では今はLDHにしかできないことではありますね。

藤谷 今回この対談の前に『クローズZERO』シリーズを見返したんですけど、ちょっと説教臭いんですよね。もちろん、ハイローも説教臭さはあるんですけど、それとは違う。これは山本又一朗(『クローズZERO』シリーズプロデュース/トライストーン・エンタテイメント代表取締役)とHIROさんの説教臭さの違いなんだろうな、と。特に豊田利晃監督の『EXPLODE』は、三池監督の持つコミカルさ、ポップさがなくなってストレートに説教が出てきてる。

加藤 むしろ『EXPLODE』は、三池崇史さんが描いたヤンキーのファンタジー性を解体しようってアプローチの映画ですからね。

藤谷 『クローズZERO』以降邦画で流行ったヤンキーファンタジーに対するカウンターとして『EXPLODE』を打ち出したかったんでしょうけど、単に説教臭くなっちゃってる。

加藤 思うに、『EXPLODE』と『THE WORST』は、扱っているテーマはたぶん一緒なんですよ。青春は永久に続くものじゃないとか、本当に貧困に陥ってしまった人が半グレ的な存在になってしまうし、そういう連中の暴力は学生のケンカとは異なるとか。ハイロー自体も、言ってみれば説教臭い話ではあるんですよ。でもHIROさんはやっぱり根底にラブドリームハピネスがあるエンターテイナーだから「よし、コンテナ街に1000人集めて殴り合わせよう」「よし、団地攻めよう」って方向にいく。

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