“元アウトローのカリスマ”瓜田純士『ジョーカー』を大絶賛! 「俺とアーサーの違い」とは?
#映画 #インタビュー #瓜田純士
麗子「ナルシストな部分は純士とかぶる」
麗子 彼はもっと現状を把握して、もっと向上心を持って行動しやんとあかんねん。
純士 だから、リアルの社会でこんなのがいい悪いの話じゃなく、映画としてどうなのかって話をしてんのに……。自分の嫁がここまでのレベルだと思うと、情けなくなってくるわ。
麗子 ウチも、あいつや純士のことが、情けないと思うわ。とにかくこの映画は、受け入れられへん。「かわいそう」に持っていこう、持っていこうとするあまり、逆に冷めた自分がいてたわ。
純士 でも、ひよっけは、『プリズン・ブレイク』のティーバッグがかわいそうな目に遭ったときは泣いてたじゃん。ティーバッグは、6人の子どもを強姦殺人した鬼畜だぞ? ルックスに左右されてないか? ジョーカーは見た目がキモイから好きになれないだけだろ。
確かにホアキン演じるアーサーならびにジョーカーはキモイ部分もあるけど、しゃべらずして演じるっていうの? 口元ひとつ、目つきひとつで悲哀を漂わせるその姿に、俺は心をわしづかみにされたよ。もしホアキンが、汁に麺だけの味気ないラーメンを、「A.激辛」「B.お袋の味」で演じ分けたとしたら、A、B、どっちでも泣く自信があるわ。
麗子 どんだけ泣き虫やねん。
純士 ガキどもに追いかけられていじめられるシーンも、舞台でやらかすシーンも、バスで冷たい視線を浴びながらカードを出すシーンも、便所でブン殴られるシーンも、全部ハラハラしたし、泣けた。地下鉄でサラリーマンのグループと同じ車両になったシーンなんて、「ああ、これからロクでもないことが起きるに決まってる」と胸が締め付けられちゃって……。
俺自身、精神科病院に入ったことがあって、精神疾患を抱えた人と結構接してきてるんですよ。病院の中ではいい人だったけど、彼らも表で事件を起こすと、ウチの嫁みたいな民衆に叩かれるんだろうな。もちろん人殺しはいけないことだけど、そこまで追い詰められる理由も見てあげないといけないな、なんてことを思ったり。
ここまで感情移入させられたのは、そうした実人生で経験したことの影響もあるけど、やっぱホアキンの演技力あってこそ。すごくなかったですか、彼の表情。母親の前や、カウンセラーの前では急に、おっさんなのに少年みたいな顔になるし。マイケル・ジャクソンを思い出したわ。
子どもの前でマジックもしてたけど、ああいう演技って実際、難しいと思うよ。相当練習しないと無理。ちなみにあの子どもが誰なのか、わかった?
麗子 誰って、あのお屋敷に住んでる資産家の息子ちゃうの?
純士 そうなんだけど、それだけじゃないんだよ。彼が大きくなったら、どうなると思う?
麗子 わからん。
純士 やっぱバットマンシリーズを見てない人だと、わからないか……。ホアキンの演技に話を戻すけど、トイレかなんかでクネクネ気持ち悪いことをやってたよね。ガリガリの体で。でも終盤、髪を緑に染めて、あの服に袖を通してジョーカーになると、気持ち悪さが格好よく見えてくる。デコ(警察)から逃げながらタバコを吸うシーンや、自己陶酔したように階段で踊るシーンなんかは、しびれるほどに格好よかったなぁ。
麗子 純士とかぶるところなかった? ナルシストなところとか、被害妄想っぽいところとか。
純士 被害妄想で思い出したけど、映画を見てる最中にちょっとだけ引っかかったのは、「それって、殺すほどのことか?」と思えるようなシーンがいくつかあった点。でも今にして思えば、それもあえて、そうしたのかも。その手の人は思い込みが激しいっていう、実際の症例を取り入れてるのかもしれませんね。
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