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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『解放区』は何が問題だった?

西成を舞台にした『解放区』は何が問題だった? 阪本順治×太田信吾監督が邦画界の内情を語る

いい映画、悪い映画は誰が決める?

阪本監督は『人類資金』(13年)以降、グローバル経済と個人の関係に言及した意欲作を撮るようになった。

太田 助成金に関してですが、国によって対応が違うことにも驚きました。韓国の釜山国際映画祭の脚本制作助成に応募したところ、企画書だけでポンッと脚本の制作費を前払いしてくれたんです(笑)。そのお陰で、今は韓国と台湾との合作映画の準備を進めることができています。釜山国際映画祭は自国の映画人だけでなく、アジア全体の若い映画人を広く育てようという気概を感じさせます。

阪本 釜山国際映画祭には、僕も20年前くらいにシナリオを応募したことがある。韓国映画は政府が映画産業を支援したことで成功したわけで、日本はそれを真似て映画支援するようになった。でも、経済産業省の人たちはみんな、映画のことをコンテンツと呼ぶからね。心理学者の河合隼雄さんが文化庁長官(2002年~2006年)を務めていたときに、僕も映画産業振興を謳った会合に呼ばれたことがあるけど、某有名大学の学長さんが「映画はビジネスなのに助成金を渡す必要があるのか」みたいなことを言っている。やりとりを聞いていると、いい映画と悪い映画は誰がどう判断するんだとか、いろいろと疑問が生じるわけです。思わず「どういう映画がいい映画なんですか?」と尋ねたら、『ローマの休日』(53年)みたいなのがいい映画だと。いったい、いつの時代だよと(笑)。もちろん、河合さんはちゃんと分かっている人でした。志を持った、熱意のある若者が新しいものを創ろうとするにはお金が必要になる。河合さんは「やっぱり銭やな」と最後に言って、その会合を締めたんです。

――9月に公開された『宮本から君へ』(配給:スターサンズ)は薬物所持で逮捕されたピエール瀧の出演シーンをカットしなかったことから、内定していた助成金1000万円の不交付を文化庁が決めたというニュースが先日ありました。この件はどう思いますか?

阪本 そのニュースは聞いたばかりで、まだ内情が分からないので答えられない。でも製作側は出演者が犯罪を犯していることを知らずにキャスティングしたわけで、予算組みに1000万円は当然入れていただろうから、痛いのは確かでしょう。

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