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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ラグビーCM、なぜ素晴らしい?
熱血!”文化系”スポーツ部

ラグビーW杯、見るべきはスポーツ番組よりCM? 三井住友銀行ラグビーCMが素晴らしすぎ!

 まだまだラグビーW杯は続くのに、日本の敗戦とともに「W杯終わっちゃったなぁ」とう声を耳にする。まあ、その気持ちもわからないではない。それほど、世界の超人たちと真っ向勝負を挑む日本代表の戦いぶりには心を動かされるものがあった。

 代表選手たちの勇姿をまた見たい! と思っても、トップリーグの開幕は来年1月。「ラグビー代表ロス」になる人もいるのではないか。

 そんなときにオススメしたいのが、歴史を知ることだ。今回、躍進した日本代表の強さの秘密として、2015年W杯からの「継続と変革」について紹介されることは多い。だが、そのもっと原点の部分、連綿と続いてきた「遥かなる挑戦史」まで知ることができれば、今の「強くなった日本ラグビー」の意義深さだって味わい深くなるはず。

 そんな“日本ラグビーの歴史の入り口”としてオススメしたいコンテンツがある。三井住友銀行のラグビー日本代表応援CM「ラグビー日本代表 挑戦と継承」篇(30秒)だ。日本テレビのラグビー中継ではいつも流れていたので、目にした方も多いはず。でも、その練り込まれた作り、深読みしたくなるポイントも知ってほしい作品なのだ。

 このCMの見どころは、ラグビー日本代表の「歴代レジェンド」たちが実際のプレーシーンとともに登場すること。ひとつのボールをパスでつなぎながら砂煙を模した巨大な敵に立ち向かい、一歩ずつ未来へと前進する日本ラグビーの歴史そのものを描いている。

「日本ラグビーは、宿澤のパスを継承する」から始まるメッセージが、まず秀逸。“宿澤”とは、早稲田大学での現役時代、身長162センチながら「小さな大選手」と称された名選手・宿澤広朗のこと。卒業後は住友銀行に入行し、のちに三井住友銀行で役員にまで上り詰めるなど、ビジネスマンとしても名をはせた男……つまりCM主である三井住友銀行のOBでもあるのだ。これほど有意義なOB活用術ってあるだろうか。

 その宿澤のパスが時空を超えて、日本ラグビーフットボール 協会現会長の森重隆へ。さらに、“北の鉄人V7”の松尾雄治へ。続いて、“ミスターラグビー”故・平尾誠二、“世界の翼”大畑大介、代表キャップ数歴代1位の大野均がつなぎ、最後は現・代表である福岡堅樹へ。そして、現在の日本代表選手らを先頭に、歴代の選手全員がトライへと向かっていく。

 冒頭シーンに関して、「なんで宿澤さんから? もっと先人はいるのに」と思った方もいるかもしれない。もちろん、出発点が宿澤なのは三井住友OBだから。でも、それ以外にも理由があると思うのだ。

 というのも、日本代表が初めて世界の強豪から金星を挙げた試合、1989年5月のスコットランド戦で代表監督を務めていたのが宿澤であり、主将を任されたのが平尾誠二だった。この金星で自信をつかんだ日本代表と2人のリーダーによって、2年後の91年W杯で“日本代表W杯初勝利”の快挙も達成。まさに「世界の強豪への挑戦史」の一歩目にいたのが宿澤だったのだ。

 だからこそ、決勝トーナメント進出を決めた13日のスコットランド戦でこのCMが流れた際には、思わず武者震いした。「スコットランド戦」で「宿澤」の名前に触れられるなんて、と。

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