“全裸監督”Netflixがさらにヤバい問題作を投下!! 園子温監督が描く恐怖の洗脳劇『愛なき森で叫べ』
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限界集落で起きた“現代の八つ墓村”事件
犯罪映画を語る上で、瀬々敬久監督の名前も外すことができない。瀬々監督はピンク映画時代から、『黒い下着の女 雷魚』(97年)、『汚れた女(マリア)』(98年)、『HYSTERIC』(00年)など実際にあった犯罪からインスピレーションを受けた問題作を撮ってきた。上映時間4時間38分という超大作『ヘヴンズ ストーリー』(10年)は山口県で起きた母子殺害事件からインスパイアされた作品であり、生田斗真と瑛太が共演した『友罪』(18年)は少年Aが社会復帰した姿を思わせるものとなっていた。10月18日(金)より劇場公開される映画『楽園』は吉田修一の短編小説集『犯罪小説集』(KADOKAWA)を原作にしたもので、『64 ロクヨン』(16年)で誘拐犯を追い詰める警官を演じた佐藤浩市が連続殺人犯を演じていることでも注目されている。
瀬々監督が脚本も手掛けた『楽園』は、原作である『犯罪小説集』(KADOKAWA)から幼女誘拐事件の顛末を描いた「青田Y字路」と、“現代の八つ墓村”と呼ばれた連続放火殺人事件を題材にした「万屋善次郎」の2つの短編小説を組み合わせることで1本の映画に仕立ててある。どちらも閉鎖的なコミュニティーで起きた悲惨な事件であり、今の閉塞的な状況にある日本社会を反映したものだ。中でも限界集落で起きた連続放火殺人事件は、集落でいちばん若く、村人の手が回らない雑用をひとりで引き受けていた気のいい善次郎(佐藤浩市)が“村八分”に遭い、次第に被害妄想に陥っていく過程がリアルに描かれている。
園監督が『愛なき森で叫べ』で描いた一家監禁殺人事件も、瀬々監督が『楽園』で描いた連続放火殺人事件も、自分とはまったく関係のない他人事とは言い切れない不気味さがある。閉じられた人間関係の中で、恋愛も含めて洗脳に近い状態に陥ったり、村八分に遭うか加担する側になった経験は、誰しも少なからず思い当たる節があるのではないだろうか。人間の心の闇を暴いた犯罪映画から、目を離すことができない。
(文=長野辰次)
『愛なき森で叫べ』
監督・脚本・編集/園子温
出演/椎名桔平、満島真之介、日南響子、鎌滝えり、YOUNG DAIS、長谷川大、真飛聖、でんでん
2019年10月11日よりNetflixにて全世界独占配信中
『楽園』
原作/吉田修一 監督・脚本/瀬々敬久
出演/綾野剛、杉咲花、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣、柄本明、佐藤浩市
配給/KADOKAWA 10月18日(金)より全国公開
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