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この国にはかつてエロ雑誌が群雄割拠していた! 『日本エロ本全史』著者が語るエロ本の栄華盛衰記

さまざまなエロ雑誌が溢れ返った安田理央氏の仕事場にて。

 今年9月より全国の大手コンビニから成人向け雑誌の売り場が撤去され、街からエロ本が姿を消した。東京五輪を翌年に控えた2019年は、エロ本文化が終焉を迎えた年として記憶されることになるだろう。そんな消えゆくエロ雑誌たちに多大なる情熱を注いだ一冊が、安田理央氏の著書『日本エロ本全史』(太田出版)だ。

 1946年に創刊されたカストリ雑誌『りべらる』(太虚堂書房)から始まり、篠山紀信の“激写”が話題を呼んだ『GORO』(小学館)、有名女優の顔に水をかける表紙でおなじみだった『ザ・ベストマガジン』(KKベストセラーズ)、最盛期には39万部を売り上げた『デラべっぴん』(英知出版)など、時代を賑わしたエロ雑誌100冊の創刊号が年代ごとに紹介されている。創刊号の表紙だけでなく、カラー図版もかなり掲載されているのもうれしい。

エロ本文化は80年代に黄金期、90年代に多様化へ

 創刊順に並んだエロ雑誌100冊を俯瞰して眺めることで、いろんな再発見が楽しめる。映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18年)の主人公にもなった末井昭が編集長を務めた『写真時代』をはじめとする「白夜書房」系はサブカル色が濃く、AVメーカー「宇宙企画」の兄弟会社「英知出版」が創刊した『ビデオボーイ』や『ベッピン』は女性モデルのレベルが高く、ヌードグラビアへのこだわりが強かった。白夜書房と英知出版の成功に多くの出版社が続き、80年代にはエロ本文化は黄金期を迎える。

 さらに90年代には多様化していき、ブルセラブームを反映した『クリーム』(ミリオン出版)、コギャル文化をフィーチャーした『チョベリグ!!』(東京三世社)などが創刊。浣腸は使用せずに自然便にこだわったというアナル&スカトロ誌『お尻倶楽部』(三和出版)や世界唯一の痴漢雑誌『フィインガープレス』(笠倉出版)といったマニアックな雑誌も誕生した。だが、ゼロ年代以降はDVDが付録につくエロ雑誌が主流となり、誌面から次第に活気が失われていく。

 アダルトメディア研究家の肩書きを持ち、これまでにも『痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか』『巨乳の誕生 大きなおっぱいはどう呼ばれてきたのか』(ともに太田出版)などの著書もある安田氏に、本著に込めた思いを語ってもらった。

「コンビニから撤去される以前に、エロ本文化はすでに死んでいたと言えるでしょうね。コンビニで売っていたエロ雑誌は付録のDVDが本体で、雑誌はブックレット状態となっていました。付録のDVDもAVメーカーが撮った映像を流用したものばかり。編集部で独自にモデルを探し、撮り下ろすとお金も時間もかかるからです。自由度の高さがエロ本の魅力だったのに、その魅力をエロ本は放棄してしまった。

 でも、そんなエロ本に僕は中学時代から憧れ、ライターとなり、30誌ほどのエロ雑誌で仕事をしてきました。自分が関わったエロ雑誌たちの記録を残しておきたかった。これまでにAVや性風俗の歴史を振り返った書籍やエロ本の黄金時代だった80年代に焦点を絞った本はありましたが、日本でエロ雑誌が誕生し、衰退していくまでの全体像を追った内容のものはなかったので、自分がやることにしたんです。

 今回出版した『日本エロ本全史』は、都築響一さんの会員制メルマガで連載した『日本エロ雑誌創刊号コレクション』をベースにしていますが、そのときは私物のエロ雑誌の創刊号を紹介していたので、抜けていた重要な雑誌を古本屋やネットオークションで入手して、100冊そろえました。消えゆくエロ本を保護したい、全部は無理なので創刊号だけでも、という気持ちで集めたものです」

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