心優しきテロリストが最期に発した言葉とは? 実録サスペンス映画『エンテベ空港の7日間』
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歴史、民族、宗教、国際情勢が複雑に絡み合うことから、”パレスチナ問題”について日本人は敬遠しがちではないだろうか。イスラエル側とパレスチナ側とでは、当然ながら言い分はまったく異なる。そんなパレスチナ問題を、第三者の視点から分かりやすくアプローチしてみせたのが、ブラジル出身のジョゼ・パジージャ監督の『エンテベ空港の7日間』(原題『Entebbe』)だ。1976年に起きたハイジャック事件を題材に、パレスチナ問題の本質に迫っている。『プライベート・ウォー』(現在公開中)で隻眼の戦場ジャーナリストを熱演しているロザムンド・パイク、『グッバイ、レーニン!』(03)での母親想いの息子役が印象的だったダニエル・ブリュールら人気俳優たちの迫真の演技も見逃せない作品となっている。
1976年6月27日、パリ行きのエールフランス機がハイジャックされた。犯人はパレスチナ解放人民戦線のメンバーであるパレスチナ人男性2名と、西ドイツの過激派であるボーゼ(ダニエル・ブリュール)とブリギッテ(ロザムンド・パイク)の計4人だった。ボーゼたちは銃と手榴弾を手に機内を制圧し、83人のイスラエル人を含む乗客239名を人質にする。
ハイジャック犯の要求は「世界中の刑務所にいる親パレスチナ系の過激派メンバーを釈放しろ」というものだった。だが、なぜドイツ人であるボーゼとブリギッテはパレスチナ側に加担しているのか。左翼思想に傾倒するボーゼたちは、世界革命が遂行されれば素晴しい理想社会が誕生すると信じていた。また、1948年にイスラエルが建国されたことで、それまで暮らしていた土地を追われたパレスチナ人たちの惨状を難民キャンプで目撃していた。理想と義憤を胸に、ハイジャックに及んだボーゼたちだった。
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