“元・地下芸人”脳みそ夫が振り返る「マウントばかり取っていた」あの頃
#お笑い #インタビュー #脳みそ夫
地下芸人時代は無理して毒を吐いてた
――「聖徳太子」に「OL」を合わせたのは、どうしてですか?
脳みそ夫 聖徳太子が絶対やらなそうだなと思ったのが、OLだったんです。
――やらないですね、確かに。
脳みそ夫 時代もね、性別も違いますから。
――コントの中で聖徳太子は蘇我氏とちょっと恋仲になったり、推古天皇にどやされたりするわけですが、一方で小野妹子は隋に行っていたり、フィクションとノンフィクションが渾然となっていて……そういうストーリーは、どういうところから発想するんですか?
脳みそ夫 最初は「少女漫画あるある」みたいな感じで、唐突に胸キュンネタを入れたり、ちょっと皮肉で作ったんですよ。だけど、思ったよりそれがスッと受け入れられたもんだから、そこからはもう皮肉じゃなくて、本当に少女漫画読んで研究したりとかして。
――もともとは嫌み成分だったんですね!
脳みそ夫 ちょっとまだ地下芸人時代の毒気が残ってたというか。完全に抜きましたけどね。
――それは意識的に?
脳みそ夫 そもそも僕、そういう感じじゃないんですよ。もうちょっと素直な人間なんです。
――無理して毒気を出していた。
脳みそ夫 はい。やっぱりね、そういうのって、年取ると疲れないですか? やるのも見るのも。
――すごくわかります。
脳みそ夫 きついですよね。仕事から帰ってきて、やっとホッとしたのに、誰かをくさすみたいな芸、見たくないじゃないですか。そういうのでストレス発散する人もいるんでしょうけど……。
――若い時はパワーがあって、毒も上手に分解出てきていた気がするんですけど、年取ってからの毒って、本当に嫌な回り方しかしないっていうか。
脳みそ夫 なんか、自分に浴びせられたような気になっちゃうと思うんですよね、ファンの方が。攻撃はしたくない。
――毒気を抜いていった自分に、物足りなさは感じなかったですか?
脳みそ夫 いや、ないですね。「そもそもコイツ何やってるんだ?」っていう域まで達したら超面白いじゃないですか。「いったい何を今見せられてるんだ?」っていう時間が、なんか面白い。
――確かに、聖徳太子がOLやってたり修学旅行行ってたり、そこにわかりやすいメッセージはなくて。すごい面白かったけど、これは一体なんだったんだろう、みたいな。
脳みそ夫 自分では、わりとわかりやすく作ったつもりなんですけどね。確か、最初は『BS笑点』(BS日テレ) の色物コーナーでやらせてもらったんです。観覧席にはおじいさんおばあさんが多くて、当然ね、笑うようには仕込まれてると思うんですが、「聖徳太子だってOLするっつーの」って言ったら、最前列のおばあさんが「は?」って。その時に「あ、これってそんなに一般的ではないんだな」とはなりました。
――「は?」(笑)。
脳みそ夫 お年寄りって、新しいシステムをインストールできないじゃないですか。もう既存のOSでやるしかない、みたいな。だからそれはもうしょうがないかなと。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事