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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『Iターン』最終回は残尿感ゼロ

『Iターン』最終回 “サラリーマンの犬”ムロツヨシが見せた覚悟の集大成

愛犬めぐり、古田新太と田中圭が一触即発

 ムロと蟹江が対峙した場面はハイライトだった。あのとき、蟹江はムロにこんな言葉を吐いている。

「お前みたいなぬくぬくしたサラリーマンの犬に引き金引けんのか?」

 この一言、完全に地雷を踏んでいるのだ。監禁される毎熊を発見したのはチワワの昌三さんだった。蟹江の兄弟分・田中は、コニーという愛犬を何より大事にしていた。阿修羅市を2分するヤクザの抗争は、それぞれの組長が抗争より犬の散歩を優先するという形で終結している。犬をバカにする言葉は阿修羅市では禁句である。

田中「コニーちゃんだ。俺も散歩に行かなきゃならねえ」

古田「こりゃまたえらい、随分とかわい子ちゃんやな。けど、わしの昌三には負けるやろ」

田中「ふざけたことぬかしてんじゃねえよ。コニーちゃんのほうがどう見てもかわいいだろうがよ!」

古田「コニーちゃんもかわいいって言うとんがな! せやけど、比較したら昌三のほうが可愛いとちゃうんか! やるんかい、コラ!」

田中 「やろうじゃねえか!」

 撃たれて血だらけなのに、愛犬自慢に興じる両組長。こんなにイカつくても結局、犬には勝てないというオチ。なんなら、2人して一緒に散歩に行けばいい。田中はムロに「身内を売るくらいなら死ぬという覚悟」が大事だと説いた。彼が命を懸けて守っていたのは、このコニーちゃんだったのだ。

 途中、あまりにも展開に救いがなく、観ていてつらくなることさえあった『Iターン』。しかし、10話以降の怒涛のたたみ掛けで十分カタルシスを味合わせてくれた。きっちりの伏線回収でスッキリした上に、こんな愉快なエンドで締めくくるとは。モヤモヤのラストを迎えるドラマが多かった今クール、『Iターン』の残尿感のなさは際立っていたと思う。

 それにしても、聴くと悲しみとノスタルジーを喚起させる「初恋」だったのに、これからはクスッと笑える1曲になってしまわないかと不安である。そういう意味でも、傷跡を残すドラマだった。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/10/01 18:00
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