スクリーン上に甦った江戸時代の至高のエロス! 大人たちが楽しむ文化記録映画『春画と日本人』
#パンドラ映画館
2015年に東京で開催された「春画展」が大盛況だったことは、さまざまなニュースで伝えられた。年間の来訪者が平均2万人という永青文庫に会期中の3か月間、21万人以上が詰めかけるという大人気だった。この「春画展」は元々は大英博物館で開催された「Shunga:SEX and pleasure in Japanese art」の日本巡回展として企画されたものだったのだが、国内の主要な博物館が開催の打診を断ったため、細川護煕元総理が理事長を務める細川家の私設博物館・永青文庫で開催されたという経緯があった。文化記録映画『春画と日本人』は江戸時代に花開いた春画の魅力を、そして今なお春画を日陰の存在として扱う日本人の社会心理を探っていく。
春画本来の魅力を伝えるため、本作では春画をトリミングしたり、ボカシを入れることなく映し出している。スクリーンいっぱいに広がる、江戸時代の男女の交わり。これぞ、大江戸エロスの世界だ。男性器はどれも異様に大きくそそり立ち、女性はアクロバティックな姿勢で受けいれている。また、男女の営みを第三者が覗き見しているものも少なくない。あまりにもあけすけ過ぎて、思わず笑いがこぼれてしまう。春画は別名「笑ひ絵」とも呼ばれていたことを実感させる。
春画を英語に訳すると「pornography」となり、江戸時代のエロ本のような印象がある。されど、江戸時代のエロ本、エログラビアは奥が深い。本作は春画ビギナーでも楽しめるよう、マジメかつ親切に春画の世界をひも解いてくれる。
海女が巨大なタコの触手に責められる春画をご覧になった人はかなり多いに違いない。触手系の先駆作として有名な「海女と蛸」を描いたのは葛飾北斎。春画ネームは「鉄棒ぬらぬら」。北斎は男女の顔がそれぞれの性器を思わせるシュールな春画「万福和合神」も残している。鈴木春信の「風流座敷八景」や喜多川歌麿の「歌満くら」は名画として有名だ。江戸時代の有名な浮世絵師は、ほとんどが春画を手掛けていた。春画を描けてこそ、一流の絵師と見なされていた。
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