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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ラグビーW杯で露呈した中継の課題
熱血!”文化系”スポーツ部

過剰なテロップ、うるさすぎるDJ……ラグビー&バレーW杯から考える「スポーツ中継の課題」

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 世界的なスポーツイベントがめじろ押しの、この秋。だからこそ、日本のスポーツ中継のガラパゴス化というか、これでいいの? という疑問を感じることが多い。

 まずは、「やっぱり本物を見れば一気に盛り上がるものだなぁ」と痛感させられたラグビーW杯について。開幕カードの日本対ロシア戦は平均視聴率18.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。ニュージラーンド対南アフリカ戦は12.3%を記録した。日本戦ではないラグビーの試合でこの数字は、なかなかすごいのではないか。

 SNSでの反応を見ると、読売テレビの幹部が「前回大会は17~18%。今回は最低でも25~30%取れれば」と事前に語っていたことから「大惨敗」といった声も聞こえる。でも、十分な数字ではないだろうか。

 同じ試合をNHK-BS、もしくはJ SPORTSでも中継しているわけだし、むしろ昔からのファンはこちらで見る場合が多い。と考えれば、この数字は「新規顧客」である可能性が高い。大会は1カ月以上続くのだから、この数字が今後どう変わっていくかを見守るほうが大事なはずだ。

 ただ、数字以上に中継をあちこち見比べて気になったのは、日本テレビ中継の画面の騒がしさ。特に開会式では、日本のスポーツ中継でよくある課題が露見されていた。とにもかくにも、テロップだらけなのだ。

 画面左には「LIVE」の文字が陣取り、画面上部にはTwitterからの引用コメント。右には「ラグビーW杯開会式 日本対ロシア」。右下にはラグビーW杯とは? 開催都市は? 出場チームは? といった情報テロップが代わる代わる出続け、左下には“W杯応援団長”の舘ひろし、“スペシャルサポーター”嵐・櫻井翔、“スペシャルMC”くりぃむしちゅー上田晋也の顔を映し出すためのワイプ画面……いや、多すぎだって。

 我々スポーツファンは、情報を 知りたいんじゃない。情緒を味わいたいのだ。競技を知らない視聴者層に向けて、ということなのだろうが、こういった情報の波は「なんだか難しそう」と思わせる要因になりかねないのではないか。

 一方、NHK-BSでも生中継されたこの開会式、画面に表示されていたのは「ラグビーワールドカップ2019 開会式 LIVE」のみ。一度だけ左下にワイプ画面が出てきたが、そこで映されたのは日本代表を乗せたバスが到着した、という同じスタジアム内だけれども別な出来事。あぁ、日本代表はこの開会式を見ず、本番の試合に備えているんだ、と知ることができた。情報の有益性ってこういうことだ。

 ちなみに、NHKの開幕戦中継でも、スタジオをにぎわせるためのゲストはいた。一人は前回大会のスター五郎丸歩であり、もう一人がTBSドラマ『ノーサイド・ゲーム』で一躍人気者となった廣瀬俊朗。きっと民放であれば、ワイプでずっとこの2人の顔が抜かれていたのだろうなと思う。

 結局、何をどう映すのか、という部分で両者を分けるのは、「この番組(試合・中継)における主役は何か?」を的確に捉えているかどうかなのだろう。NHKの場合、ゲストではなく、開会式をしっかり映そうという心意気がちゃんとあったということだ。それでいて、番組冒頭で廣瀬を紹介する際には『ノーサイド・ゲーム』主題歌、米津玄師の「馬と鹿」を流す遊び心も。これで十分、ゲストの存在感は担保されている。

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