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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 『宮本から君へ』劇場版の熱量
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.549

よくあるTVドラマの劇場版と思うと火傷する!!  池松壮亮と蒼井優が異常に熱い『宮本から君へ』

家族や恋人すらも敵に回す覚悟

 

宮本の前に立ち塞がるのは、拓馬だけではない。靖子の元彼である裕二(井浦)も、宮本にとっては大きな壁だった。

 テレビシリーズに続き、宮本の上司・小田課長役でほっしゃんこと星田英利が出演している。出番は少ないが、映画のキーワードを小田課長は宮本に向かって口にする。

「みんな敵や思うたらええやんか。千人でも万人でも敵に回したれや。カッコ家族も含むカッコ閉じるや」

 家族も恋人も100%の味方ではない。むしろ、大きな障害となることが多々ある。それでも、宮本は腹を括る。『宮本から君へ』は新しい家族をつくる上で宮本が、そして靖子が腹を括って、覚悟を決めるまでの葛藤を描いた物語だ。映画のクライマックスにおける池松と蒼井の熱い演技に触れることで、原作者・新井英樹が25年前に描こうとした物語の真意に気づかせられる。

 平成生まれの池松は平成の終わりに本作に主演し、蒼井は独身時代の終わりを本作で飾ることになった。映画『宮本から君に』は新しい時代を迎えるための、どでかい打ち上げ花火のような作品だ。平成時代によくあった人気テレビドラマの劇場版でしょ? そう思った人がこの映画にうかつに近寄ると、確実に火傷をするだろう。バブルという時代の風潮にうまく馴染めずにいた男・宮本浩が令和という新しい時代になって帰ってきた。サラリーマンとしての評価は相変わらずダメダメな宮本だが、男としての度量は遥かに大きくなって帰ってきた!

(文=長野辰次)

『宮本から君へ』

原作/新井英樹 脚本/真利子哲也、港岳彦 

主題歌/宮本浩 監督/真利子哲也

出演/池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、星田英利、古舘寛治、佐藤二朗、ピエール瀧、松山ケンイチ

配給/スターサンズ、KADOKAWA R15+ 9月27日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

(c)2019「宮本から君へ」フィルムパートナーズ

https://miyamotomovie.jp

 

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最終更新:2019/09/20 20:00
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