よくあるTVドラマの劇場版と思うと火傷する!! 池松壮亮と蒼井優が異常に熱い『宮本から君へ』
#パンドラ映画館 #宮本から君へ
尋常ではなかった劇場版までの道のり
テレビシリーズ(全12話)の終了から1年3カ月を経ての公開となった、劇場映画『宮本から君へ』。テレビシリーズ終了後に制作体制が変わるなど、劇場版までの道のりは尋常ではなく大変だったようだ。だが、そんな舞台裏の苦労をまるで感じさせないほど、池松はドラマを遥かに上回る狂気性をはらんだ熱気を放ち、そして蒼井ががっちりとその熱さを受け止めてみせる。この2人が主演したからこそ成立した映画だと言っていい。
原作を読んでいる人なら「よくR15で映画化できたな」と思うだろう。映画の序盤、靖子の元彼・裕二(井浦新)を部屋から追い出し、ようやく結ばれる靖子と宮本。だが、恋人として過ごす時間は束の間だった。2人の前には、あまりにも大きな試練が待ち構えていた。宮本の取引き先の会社の真淵敬三(ピエール瀧)との飲み会で、宮本は痛飲。飲み会に参加していた靖子と一緒に宮本は、敬三の息子で大学ラグビーのスター選手だった拓馬(一ノ瀬ワタル)にアパートまで送ってもらう。事件はその夜に起きた。宮本が泥酔して眠っている間、靖子は拓馬から暴行を受ける。翌朝、目が覚めた宮本は地獄に突き落とされた気分だった。いや、靖子は宮本とは比べものにならない苦痛を強いられていた。
最高の理解者と巡り合えた喜びを噛み締めていた宮本と靖子だったが、この事件以降は顔を合わせる度に傷つけ合うことになる。しかも、靖子は妊娠していることが分かる。この後の展開をストーリーだけを追っていくと、自分の愛する女を、そして男のプライドを踏みにじられたら宮本が体格で圧倒的に上回る拓馬へのリベンジを挑む――という流れとなる。だが、リベンジを果たせば、靖子の心の傷は癒やせるのか。2人は元の関係に戻れるのか。現実的にそれは絶対にありえない。映画『宮本から君へ』が描こうとしているのは、決して復讐の物語ではない。その先にあるものを宮本と靖子は掴もうとする。
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