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日刊サイゾー トップ > その他 > ウーマン・ウェジー  > 川本真琴と椎名林檎、浜崎あゆみに共通する“屈辱”
【wezzy】

川本真琴と椎名林檎、浜崎あゆみ――同世代の女性アーティストたちに共通する“屈辱”

 8月7日、9年ぶりとなる新作アルバム『新しい友達』をリリースし、ファンを魅了した歌手の川本真琴。9月11日、川本は自身のTwitterでデビュー当時を振り返って長文のメッセージを発信し、その内容が話題になった。

<デビュー当時の私の私服はめちゃめちゃでいて絶対これ! みたいなものを着ていて、でも会社からはそんなへんてこでガーリーな服は違う、川本真琴は普通で中性的でなければいけないと言われ、自分の人格と全く違うスタイルが用意され、小声で違う…としか言えませんでした>

<でも、30~40歳くらいの男性スタッフ、売ることを優先に考えている宣伝スタッフ陣が良いと思うものは戦略的には当たっていましたが、私の気持ちとは全く違っていて、自分の人生の意味がわからなくなっていました>

<私は特にファッションセンスがあるわけではないですが、好きなものを着ればよいと思います。何歳になったって。誰かがとやかく言うからそうしたとしても、その人は自分の人生の責任をとってくれません。後でその人に文句を言ったって終わったことです>

<だから、好きなことを選ぶのは大切なことだと思います。好き=自分に必要なものだと思います。自分にとって違うことはnoと言わなきゃ、そのチームに未来はないです。圧力がある世界はどんよりします。もちろん、そのファッションが何かを傷つけたり悲しませたりするようなものはだめです>

 川本真琴は1996年、1stシングル「愛の才能」でメジャーデビュー。ショートボブのボーイッシュな格好でアコースティックギターをかき鳴らす姿が話題を呼び、瞬く間に人気を獲得。1997年に発売した1stアルバム『川本真琴』もミリオン・ヒットを飛ばし、90年代後半のガール・ポップブームを牽引する存在となった。

 彼女が「売れた」からこそ、冒頭に引用した川本の一連のツイートに対して、「本人にとっては自己表現である音楽だけど、プロデュースする側にしてみたら商品だからなぁ。そこに乖離があるのはある程度仕方ないようにも思える」「よく売れた後でこういうこと言う芸能人がいるけど、事務所は売り出すのが仕事なんだから悪いことしてる訳ではないし感謝するべき」「あとから恨み節っぽいことをいうのは傲慢だなと思う」などと批判的な意見も噴出した。

 このような意見に対し、川本は12日にTwitterで次のように言及している。

<なんか、会社をディスったわけじゃないんだけどなー 全部読んでくれてる方はわかってもらえてると思う。フェイクニュースやゴジップの作られ方の基本ですね。 ファッションについて、 好きなことを選択することについて書いてるのに、 全然違うトピックで話されてる>

<今でも昔の曲を歌うのはこよなく好きだし、会社の人は徐々に理解してくれて、私の気持ちを優先してくれて最終的にとてもよい関係だったんですよー!>

 川本は自身の過去について肯定的な意見を述べていることからも、渦中の発言が“愚痴”ではないことは明らか。過去の苦い体験を振り返り、ファッションについて「好きなものを着ればよい」「好き=自分に必要なもの」と述べることで、間接的に“自分らしさ”の大切さを説いたメッセージであったのかもしれない。

椎名林檎が屈辱で涙した日
 川本真琴から1年遅れて1998年、歌手の椎名林檎がデビューしている。川本と同世代の椎名林檎も、今年5月放送の『COUNT DOWN TV』(TBS系)に出演した際にデビュー当時について振り返り、話題になっていた。

 椎名林檎は、1stシングル『幸福論』や2ndシングル『歌舞伎町の女王』など、デビュー当時の作品プロモーションでテレビやラジオの放送局を回っていた頃に、ある屈辱的な要求があったことを明かしたのだ。

<結構いろんなところに行くと、面と向かって「ゴースト(ライター)いるんでしょ?」とか「本当はいくつなの?」とか。あと、私が怒りからなのか人知れずひとりで泣いちゃったのは、明日のどこどこのキャンペーンの局の方が「たまたまプールサイドでの収録なんで、水着をなるべく着てきてほしい」みたいなことをおっしゃってるっていうのをメーカーの人から聞いたときに、なんかまあ、悲しさなんでしょうね、すごく、怒りなのか悲しさからなのか泣いたことがあって>

<疑われている、本職の仕事自体を。「疑われるのはごめんだ!」と思って、そういうことを避けるためにアー写とかジャケ写がだんだんエスカレートしていっちゃった>

 椎名林檎は独自のパフォーマンスや表現を確立させた女性アーティストだが、それは若い頃に女性性を売ることを求められ、侮辱を受けてきたがゆえの“武装”としての表現であったことが明かされた。椎名林檎の表現は広く支持を集め、結果的に彼女は彼女のやり方で現在の人気を築いたが、当時の心情は察するに余りある。

 今年5月にリリースした最新アルバム『三毒史』についても、椎名林檎は自身が上半身に鎧をまとったケンタウロスに扮する個性的なアートワークについて、次のように語っている。

<客観的に見ると愚かさですよね。やっぱりこれ。エスカレートしちゃって。(バカしてくる)相手のレベルに合わせて「そういうふうに疑うんだったらこっちだって!」みたいな。マッチョイズム。虚勢の張り方ですもんね。鎧着たりとか>

 

浜崎あゆみを「等身大でいればいい」と励ました恋人
 川本真琴のように、商品として世に売り出すための虚像と、本来の“自分らしさ”が異なり、葛藤を抱えているアーティストや芸能人は多いのかも知れない。また、椎名林檎のように虚勢を張ることでギリギリの表現を続けている場合もあるのだろう。

 他方で、こうした戦略を敢えて取らず、「等身大の若者」として売り出されたアーティストもいた。浜崎あゆみだ。

 今年8月に発売した『M 愛すべき人がいて』(幻冬舎)には、浜崎あゆみが1998年にデビューを果たした直後から恋仲だったという現エイベックス株式会社代表取締役CEOの松浦勝人氏との関係性が赤裸々に描かれており、“暴露本”として話題になった。

 この本によれば、当時はプロデューサーとして浜崎あゆみをサポートする立場だった松浦氏は、素の自分とアーテイストとしての在り方のギャップに悩む浜崎あゆみに対し、次のようなアドバイスを繰り返し送っていたという。

<あゆは等身大でいればいい。本物の浜崎あゆみでいればいいんだよ。作ってメッキをしてもそんなのすぐに剥がれてしまう。大丈夫、必ず世の中は気付くよ、あゆがバカじゃないってことに。唯一無二の存在だってことに>

<あゆは、世の中の好みになる必要なんてないんだ。世の中の好みなんて変えてやれ。あゆは、大好きなもの、愛されるものを作り出す存在であって欲しい、この先もずっと>

 一人称が「あゆ」で、音楽番組のトークなどでも「あゆはァ~」と普通に喋っていた浜崎あゆみは、「バカ呼ばわり」されもしたわけだが、それに悩んだ彼女に、松浦氏は上記の言葉を送ったわけである。

 浜崎あゆみは等身大を貫き、松浦氏への恋心を切々と歌詞に綴った。それは若い女性の気持ちを代弁する曲となり、次々と大ヒットを飛ばした。当時、松浦氏がプロデューサーとして的確な助言をしてくれていたからこそ、破局後の現在も浜崎あゆみは彼に全幅の信頼を置いているのかもしれない。

最終更新:2019/09/14 05:30
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