過酷な受験戦争が生んだ、中国の「教育アプリ」の進化
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日本の大学入試は「簡単だった」
夕日が沈む頃、中国全土の高考の初日を終えた生徒たちが、それぞれの家族らと共に自宅に帰ってゆく。この日のことは、大学受験をしたあらゆる中国人にとって、忘れがたい1日になるようだ。
教育は国家100年の計にあり、とは昔からよく言われたことだ。中国では2000年代前半まで、大学への進学率は、10%前後だったといわれる。それが近年、30%から40%にまで上がっている。
しかし今でも、北京や上海などの都市部と、地方都市などでは、教育をめぐる環境格差が大きいのが実態だ。だからこそテクノロジーを駆使した、スマートフォンを使った学習アプリが、次々に生まれてきている。
例え良い教師や学校になかなか恵まれない環境にあったとしても、教育アプリをつかえば中国全土の名門校の「過去問」などが手に入り、オンライン授業であれば地理的なハンディキャップも埋めることができるのだ。
また今回は紹介することができなかったが、オンラインのみならず、リアルな学校空間もテクノロジーによって進化をつづけている。例えばカメラによる顔認識の技術を使って、いま生徒がどのくらい授業に集中しているのか、といった状況をデジタル的に分析することができるサービスなども登場しているという。
筆者が勤めるNewsPicksにも、中国出身の女性エンジニアの同僚がいる。30代前半の彼女も上海にある全寮制の高校で、朝から晩まで、3年間にわたって勉強をしたのだという。いきさつがあって、大学は日本の理系大学としてはトップの東工大に進学した。
「勉強ばかりの高校生活を送ったので、日本の大学入試は楽勝でした」
良いか、悪いかではなく、中国にはこうした過酷な受験レースで勝ち上がった人たちがいる。その頭脳は、長期的にこの国の競争力になるに違いない。(月刊サイゾー7月号より)
後藤直義(ごとう・なおよし)
1981年生まれ。青山学院大学文学部卒。毎日新聞社、週刊ダイヤモンドを経て、2016年4月にソーシャル経済メディア『NewsPicks』に移籍し、企業報道チームを立ち上げる。グローバルにテクノロジー企業を取材し、著書に『アップル帝国の正体』(文藝春秋)など。
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