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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『Iターン』が描いた労働者の悲哀

『Iターン』第9話、ムロツヨシと黒木瞳が体現する社畜と自営業の悲哀

“死んでもいい兵隊”として雇われたフリーランスの男

 毎熊と般若が揉み合う中、発砲事件が起きた。そういえば、8話では青葉銀行支店長・瀬戸川達郎(手塚とおる)を脅すため、一芝居打った偽の発砲事件が起こっている。あれは、岩切組が全員一丸になってやり切ったミッションだ。

 働く者には、会社員もいるし個人事業主もいる。8話で田中は般若にこんな指示を出していた。

「死んでもいい兵隊をひとり用意しろ」

 今回、来夢来都にはひとりの見知らぬ男が待っていた。

毎熊「あんた、どこの身内?」

男「俺はどこの身内でもねえよ。フリーランスだよ」

 揉み合いの中で撃たれたのはこの男である。田中は始めから誰かひとりが撃たれると計算していた。その役割として、フリーランスの男が雇われたということ。

 黒木はクラブ「来夢来都」を営む自営業者である。彼女は岩切組を裏切った。四面楚歌のムロが黒木に裏切られたショックは大きい。でも、黒木は黒木で田中の要求を飲まないと店が立ち退きに遭うつらい立場にいた。

田中「あんたが岩切裏切るなんてな」

黒木「なんとでも言わんね。男だけが守るもの持ってると思ったら、大間違いよ」

 ムロはムロで、竜崎組のスパイとして古田に不義理をしている。働く者の悲哀は誰にだってある。ムロも黒木も自分を守るために人を裏切った。社畜もフリーランスも、どちらもつらい。

 今回、チワワの昌三さんの出番が多かった気がする。大きな目をウルウルさせる昌三さんはかわいい。自分の立場に絶望するムロと昌三さんは目の潤み方が同じなのに、両者から受ける印象はあまりにも違った。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/09/13 14:00
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