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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『あな番』裏テーマはヲタク!?

『あなたの番です』を総括! 裏テーマは「アイドルに翻弄されるヲタクの物語」だった?

最終回に視聴者が不満を抱いたワケ

 物語は翔太と、新たにマンションに引っ越してきた住人・二階堂忍(横浜流星)のバディモノへと変化するのだ。二階堂がAIの研究をしている大学院生と知った翔太は、犯人を探すために協力してほしいと頼む。

 人とのコミュニケーションが苦手な二階堂の部屋を、毎日手料理を持って訪ねてくる翔太。2人の交流は、田中の出世作となった『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)を思わせるようなニヤニヤさせられる場面で、翔太と犯人探しをするうちに人の心を理解して変化していく二階堂の姿は、まさにAIが人間の心を学習していく過程をなぞっているかのようだった。

 一方、翔太は二階堂との犯人探しにのめり込むことで、菜奈の死を乗り越えていく。ゲーム的な犯人探しに目が行きがちだが、実は話の節々で丁寧な人間ドラマが展開されているのも本作の魅力で、このあたりは脚本家・福原充則の功績だといえよう。

『反撃編』からは視聴率も上昇し、最終話の平均視聴率は19.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を獲得した。台風が直撃し、自宅にいる人が多かったことを踏まえたとしても、この数字は多くの視聴者が本作に注目していたことの証明だろう。

 ただ、最終話に関しては批判が多く、放送終了後に抗議の電話が殺到したという。いわゆるミステリーとして、謎解きが強引で、伏線が回収されていないことに対する不満が多かったようだが、最大の不満は殺人ゲームを裏で操っていた犯人・黒島沙和(西野七瀬)が、殺人衝動を抱えたシリアルキラーだったことだろう。

 ふつうの人たちが、交換殺人ゲームに巻き込まれて否応なく殺人を犯してしまうという物語かと思っていたのに、平気で殺人を犯せる人間が混ざっていたのでは、交換殺人という設定の意味がない。

 看護師の桜木るり(筧美和子)にしても同様で、平気で殺人を実行できるアサシン(暗殺者)タイプの人間が複数いるため、これだったら「なんでもあり」じゃないかと思ってしまう。

 思わせぶりなだけのキャラクターも多く、良くも悪くも視聴者の関心を引っ張ることしか考えていない安易なミステリードラマだった、というのが本作に対する妥当な評価だろう。

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