上野前厚労政務官の”口利き疑惑”、音声データまでありながら「メディア総スルー」の末期症状
#政治 #自民党 #上野宏史 #口利き疑惑
甘利明TPP担当相、宮崎謙介衆院議員、舛添要一東京都知事と、次々と政治家を餌食にしてきた“文春砲”が久々のスマッシュヒットを飛ばしたのが、「厚労政務官 上野宏史衆院議員 口利き&暴言音声を公開する」(週刊文春8月21日発売号)だ。
上野氏が、外国人の在留資格を巡って法務省に口利きをしていたという疑惑で、政策秘書との打ち合わせで「お金もらう案件でやっている」などと語る生々しい録音データも公開した。あっせん利得処罰法違反の疑いがあり、事実なら安倍政権の「看板政策」を食い物にした大スキャンダルだ。ところが……。
「後を追いかけたメディアは時事通信と上野氏の地元・群馬県の上毛新聞のみ。音声という格好のワイドショーネタがあるにも関わらず、テレビ各局は完全無視し『あおり運転』の映像ばかり。かつて週刊新潮による豊田真由子・元衆院議員の『ハゲーーーー!』の音声をこれでもかと流したのとはエライ違いです。上野氏ら当事者が取材に応じなかったことが理由ですが、要は、週刊誌にあっせん利得という政治スキャンダルの”ド真ん中”で抜かれたのが面白くなかったのでしょう。報道が盛り上がらないことから記者達は『9月11日の内閣改造まで乗り切るだろう』と高をくくっていました」(永田町関係者)
潮目が変わったのは、しばらくしてテレビ朝日が文春と同じ録音データを入手し「独自ネタ」として放送してからだ。
「ようやく他局は『なぜウチは入手できてないんだ!』と焦り、政治部総出で入手経路を探り始めます。文春報道から1週間後の8月28日、上野氏が突如、政務官を辞任すると血眼になって探すハメに。政治家を使って文春から入手を試みたツワモノもいました」(テレビ局政治部記者)
上野氏は「法令に反する口利きをした事実はない」などと文春報道を否定するコメントを出しただけで、記者会見を開くこともなく雲隠れを続けた。派手に報じたのは当日くらいで、やがて収束。ワイドショーは今度は、隣国の”タマネギ男”のスキャンダルを垂れ流し始める始末だった。
確かに視聴率のとれない“小物議員”には違いないが、この体たらくに臍をかんだメディアがあった。他でもない、安倍首相”親衛隊”と見られていた産経新聞である。
「9月2日付けの社説で、上野氏の説明責任を追及するだけでなく『安倍晋三首相の任命責任は大きい』とまで踏み込んだのです。大阪社会部出身の飯塚浩彦社長、井口文彦編集局長のラインが政治部に喝を入れたとも取れます」(前出・関係者)
時を同じくして発覚したのが、元プロ野球選手の自民党・石井浩郎参院議員が、JPアセット証券からデリバティブ取引を巡り、最大6,200万円もの証拠金不足を穴埋めされていた問題だ。証券取引等監視委員会が金融庁に勧告したことで明るみになったが、これも、石井氏が雲隠れしているのを理由に、メディアの扱いは小さい。
「金融商品取引法違反のみならず、なぜ同社から利益供与を受けたのか、政治資金の寄付にあたらないのか、資産報告はどうなっているのか、と突っ込みどころ満載で、いくらでも深堀り記事をつくれるはず。日ごろ付き合いのある政治部記者も石井氏を引っ張り出す努力をせず『社会部マター』と無視を決め込んでいます」(同前)
こうした疑惑に目をつぶり、やれ小泉進次郎が、三原じゅん子が、と内閣改造の「予想記事」に勤しんだ政治記者たち。そんな毒にもクスリにもならない記事を書いて仕事をした気になっていては、日本の政治ジャーナリズムは末期症状と言うしかないだろう。
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