刑務所で食らった本とは? A-THUGとBESが激白するラッパーの“獄中読書”
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官本で読んだ村上春樹はさっぱり面白くねぇ!
A そういう金がない人たちは、よく官本を借りて読む。
B 官本っていうのは、施設が貸してくれる本だよね。わかりやすく言えば図書館みたいなシステムだけど、蔵書量としては本棚レベルって感じかな。でも、量は施設によって違う。あと、官本は基本的には拘置所や刑務所にしかないけど、本が読める留置場もたまにある。
A ここでパクられてからの流れを簡単に説明しておくと、まず警察署の留置場に入れられる。その後、起訴された場合、保釈の許可が下りたら一回シャバに出られるけど、そうじゃないと裁判が終わるまで3〜4カ月は拘置所にいなきゃいけない。で、裁判で実刑判決が下ると、どの刑務所に入るか決める分類センターに行かされて、面接がある。
B 留置場、拘置所、刑務所はどこも朝6時か6時半に起床。留置場だと昼間は結構ゴロゴロできるけど、拘置所だとそうもいかない。ものすごく細かい規則がたくさんあって、少しでも違反すると懲罰。刑務所の場合、昼間は刑務作業がある。自由時間は夕方5時くらいからで、消灯は夜9時。
A 娯楽はテレビ、ラジオ、読書って感じ。本は購買部、目録で取り寄せ、差し入れ、官本のどれかで手に入れる。ただ、官本は古い本が多いかも。その中だと、ケータイ小説の『Deep Love』(スターツ出版)を読んだ。
B どの施設にも官本の目録があって、読みたい本の番号と自分の番号を書いて提出すると、「掃夫」っていう役割の懲役が部屋まで持ってきてくれる。一回に借りられるのは大体3冊までかな。で、受刑者が施設の本を全部読みきっちゃうと、「官本交換」といって新しい本棚が来る。500冊とか。交換する時期は施設で違うけど、俺がいたところは2週間に1回くらいだった。
A 川越少年刑務所にいたときは、手塚治虫のマンガを読んだよ。『ブラック・ジャック』(秋田書店)、『ブッダ』(潮出版社)、『火の鳥』(朝日新聞出版)とか。特に『ブッダ』は全巻読んで超感動した! あと、『火の鳥』のどのエピソードか忘れたけど、「若い頃はマリファナ吸って、クラブに行って女の子をナンパしろ」って書いてあった(笑)。
B 『ブッダ』は全巻揃ってなかったなぁ。俺は『ゴーマニズム宣言』(扶桑社)を読んでみたんだけど、難しすぎて全然わかんなかったわ。
A わかんないといえば、村上春樹。官本で読んだけど、マジでどこが面白いのかさっぱりわかんねぇ!
B 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮文庫)とかの人でしょ? 頭がおかしくなりそうになって、途中でぶん投げた(笑)。
A それだったら、映画とミュージカルが有名な『アニー』【1】なんかを読んだほうがいい。アニーって人生をめっちゃストラグル(もがく)しててさ。あれを読んで、信念を曲げずに生きることの大切さを学んだ。最後にすごく幸せなことが起こるし、イイ本だね。
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