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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『べしゃり暮らし』主役は駿河太郎?

『べしゃり暮らし』第6話で思い出した、関西の有望株若手コンビ「ベイブルース」

雨上がり決死隊と同期、大阪NSC7期の出世頭「ベイブルース」を思い出す

 先の展開が展開だけに、駿河のラジオが始まる直前は原作を読んでいても緊張した。

 あくまで“普段どおり”の放送を駿河は自分に課す。今、デジきんのようなコンビがいたら即刻事務所からストップが掛かると思うが、『べしゃり暮らし』連載が始まったのは2005年。ラジオでしゃべった発言が翌日(ヘタしたらリアルタイム)のネットニュースに取り上げられる現代と違い、あの頃の芸人ラジオにはまだ密室感があった。演者とファンの共犯関係がまだ成立していた頃の話である。

 相方を残して逝った芸人はたくさんいる。カンニング竹山を残して逝った中島忠幸、鼻エンジンの村田渚。特に、今回の『べしゃり暮らし』が描くシチュエーションが思い出させるのは、大阪NSC7期(雨上がり決死隊など)の出世頭コンビ「ベイブルース」の河本栄得である。

 河本が死去したその日、ベイブルースにはラジオの生本番が控えていた。相方の高山知浩は河本の死を受け止めながら「あいつは大丈夫やから」と事実を隠し通し、その翌日に河本の死去は発表された。高山はその後のラジオ番組で「隠しててごめんなさい。嘘をついてました」とファンに謝罪をしている。

 今回のデジきんはベイブルースとは若干異なり、尾上の死はすでにマスコミに発表済みだ。なのに、駿河は笑いながらトークを始め、しかも雪の日に凍死した尾上をイジるように「俺らがネタやってるときはさっぽろ雪まつりの映像を流す」「雪のアンコールワットを見せつける」と不謹慎なギャグを飛ばし続けた。しかし、次第に感情が破裂し「死んでどないすんねん、ボケ!」と悲しみと哀愁をさらけ出した。芸人として正しい態度かは議論の余地があるが、これも選択肢の1つだ。

 はっきり言ってこのドラマ、デジきんの物語みたいになっている。全8話だとすでに発表されているので、残すはあと2話。最終回間近だというのに、主役は間宮&渡辺というより駿河&尾上という印象。しかも、『べしゃり暮らし』はこの6話が間違いなくピークだ。

 次回予告を見る限り、7話以降の展開に嫌な予感がしている。『べしゃり暮らし』初回は異常な駆け足だった。膨大な量のエピソードを消化しようとし、結果、ただのエピソード版みたいな仕上がりに。すべてが雑すぎて視聴者からは不評を買った。

 今夜放送第7話にも多くのエピソードが詰め込まれる模様。また、ダイジェスト版のような仕上がりになりはしないだろうか? という不安があるのだ。何しろ、間宮も渡辺もようやく養成所に入ったばかりである。

 エピソードの詰め込み過ぎによる弊害は、あからさまに悪影響を及ぼしている。間宮がエセ関西弁をやめるくだりと尾上の死のリンクの仕方があまりにポップで、感動を薄めてしまっているのだ。駿河が寺島の蕎麦を食べに行く流れも、原作未読派には取って付けたような印象を与えただろう。

 今夜から始まる最終章を境に、急激な尻すぼみになる恐れがある。いい意味で予想を裏切ってほしい。筆者の予感がただの杞憂で終わることを祈るばかりだ。

(文=寺西ジャジューカ)

最終更新:2019/09/07 18:00
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