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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 30代サブカル男に父性は芽生える?
『こうしておれは父になる(のか)』発売記念インタビュー

「パプリカ」でビートを取る1歳の息子に”神々しい……!” 30代サブカル男に父性が芽生えるまで

育児の現場は、両親学級じゃわからない!

――やはり育休を取ったというのが大きかったんですか?

本人 それもありますね。産後、2週間ほどで育休に入ったんですが、一つ屋根の下で3人と1匹だけで生活していくという経験は大きかったです。日中は2人がかりで家事育児をやって、夜中のミルクは当番制でした。

――大変でしたか?

本人 外に遊びに行く余裕はなかったですけど、代わりに宅配食材のサンプルを取り寄せまくったり、メルカリで不用品を数万円に換えたりはしました(笑)。まあ最初こそ、「育児、途方もない……」って感じでしたが、一連のルーティーンができると、一人でやっているより格段に楽だったと思いますね。あの時期は揉めたりもなかったから、なんだかんだ2人でシェアできてるという実感がありましたし。夫婦で揉める時って、どっちかが睡眠不足か、キャパがオーバーしてるかのどっちかですからね。

――実際のタスクの分担以外に、育休のメリットってどんなところですか?

本人 フタを開けてみたら実はこうだったんだ、というのを当事者として体験できたということでしょうか。現場を見ないまま日中に家でどういうことが起きているのか理解するのは、やっぱり難しいと思うんですよ。そういう意味で、体験すると頭の片隅にずっと残りますからね。出産前の両親学級でシミュレーションとか、そういう話じゃないんですよね(苦笑)。

――人形相手の沐浴体験やオムツ替えと現実は違う(笑)。

本人 それに、育休中の妻が言ってた「世間から切り離される疎外感」とか「アウトプットできない悲しさ」の一端も味わえたと思います。家の中がすべてになってしまうから、久々にコンビニへ出かけて季節の移り変わりを知ったり。子どもの世話をするのは当然だけど、やっぱり自分を犠牲にしなきゃいけない部分もあるなって。

――24時間、緊張感と責任感で押しつぶされそうになるっていいますからね。

本人 逃げられないし、誰かに相談するにしても、この案件って人それぞれすぎますからね。ほんと、世の中のお母さんたちおつかれさまです……! あと、今回あらためて思ったのは、父親側の意見も全然違うなって。「子どもかわいい」ってところでは共通していても、得意不得意も違うし、仕事の関わり方も周りの理解も違うから、これを共有する、わかってもらうというのも、かなり大変なことだと思いましたね。

――育児に関わりたくてもどうか関わっていいのかわからない、という男性は少なくないのかもしれないですね。

本人 父親といえば大黒柱的なイメージがこれまでずっとありましたけど、実際はもっとヘタレだし、自分の頼りなさは一人の人間の命を扱う上ではすげえ欠点だなって思いましたね。だから、そういったダメなところも含めて、育児の敷居を下げたいと思ってこの本を書いたわけです。

――運よく育休を取れたとしても、パタハラに遭って退社を余儀なくされた、なんて話も聞きますが、本人さんが職場復帰するにあたって、トラブルとかはなかったんですか?

本人 勤務先はすごく理解があって、社長も育児経験者だし、女性に限らず全社員育休取ってなんぼでしょ、みたいなスタンスなんですよ。だから、特にトラブルはなかったと思います。ただ、やっぱり復帰した直後はいろいろバタバタして、何かひとつに本腰を入れると、マルチには回せないっていうのを痛感しました。仕事はどんどんたまっていくけど、家に帰って子どもをお風呂に入れなきゃいけないとか。ユニットのバイブスをよくするためにやってるはずが、単なる義務感にさいなまれる日もありましたね。

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