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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > バート・レイノルズの遺作が公開
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.547

故バート・レイノルズの人生をそのまま映画化!! 思わず感涙の大団円『ラスト・ムービースター』

『ロンゲストヤード』のような大逆転劇

かつての俳優仲間役で、チェビー・チェイスが出演。行き場を失った映画俳優たちの高齢化問題が笑いの中で描かれている。

 酔っぱらった勢いで、ファンの前で毒づくヴィック。「(俳優として落ち目になったのは)作品選びに失敗したせい」「オレが出た映画はどれも冒頭のシーンを観れば、結末まで分かるようなものばかり」と自虐トークを続ける。実際、ライバルだったイーストウッドはミステリー、文芸もの、家族ものなど多彩なジャンルに挑戦することで俳優としての幅を広げたのに比べ、レイノルズはB級、C級の娯楽作に出演し続けた印象が強い。『プリティ・ウーマン』(90)などの出演オファーも断ってしまった。でも、集まったファンの前で、「作品選びに失敗した」という台詞はあんまりではないか。

 ヴィック/レイノルズのズタボロな晩年の生活を見せつけられ、スクリーンを観ているこちらの気分までヘコんでしまう。ところがドラマの後半、それこそ『ロンゲストヤード』のような大逆転劇が待っている。オタクしか集まらない名ばかりの映画祭にノコノコ参加してしまった自分のおめでたさが嫌になったヴィックは、リルの運転するボロ車で空港へと向かう。LAの自宅に帰るつもりだったが、生まれ育った生家が意外と近いことを思い出し、寄り道することに。人生の寄り道が、ヴィックの忘れていた記憶を目覚めさせる。

 家族と過ごした生家はまだ残っていた。現在の生家の住人は「ここはかつて映画スター・ヴィックが暮らしていたのよ」と自慢する。地元ではちゃんと名士として忘れられずにいたのだ。さらにアメフトのスタジアムや初めての結婚相手にプロポーズした思い出のデート場所も訪ねることに。ヴィックは独力でスターの座に就いたつもりでいたが、多くの人に励まされ、大切な人に支えられてきたことに気づく。

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