【ラッパー対談】裏社会のリアルに自伝とマンガで迫った漢&TABOO1の危ない絆 グラフィティ・ライターの日常も!
#ヒップホップ #ラップ #HIP HOP #漢 a.k.a. GAMI #TABOO1 #グラフィティ
漢に無断でILL BROSのフィギュアが作られた!?
漢 『イルブロス』は内容的に『ヒップホップ・ドリーム』とちょいちょい被ってるところもあるけど、これは便乗商法を狙ってるという認識でOKなのかな?
TABOO1 ……全然狙ってないから! 『イルブロス』はフィクションだけど、俺の自伝的要素もあるから、似た話が出てくるのは当然でしょ。でも、俺は漢みたいに赤裸々には描けないよ。KONGがテレビに出て活躍してるのをTAMが見てるシーンとかさ。文章だと生々しいというか、エモすぎちゃうというか。ああいうのはフィクションだから成立したと思う。
漢 確かにTABOO1のタッチで、いろんなことがかなりマイルドになってるよな。あのシーンは俺も読んで「こんなふうに感じてたんだ」と思ったし。それと、3話目の「wanna be a rapstar!」は懐かしかったね。TAMがラップにのめり込んでいくスピード感は、当時のTABOO1の雰囲気そのものだった。マンガの後半で「TAM」がアートの世界に興味を示していく流れとかも。
TABOO1 そうだね。漢がラップでがんばってるとき、俺はフィギュア作りの勉強してたから。工場に発注するんじゃくて、ゼロから自分で作るにはどうしたらいいか……みたいな試行錯誤をしてた。
漢 ラッパーとしてのTABOO1しか知らない人は、近年は全然活動してないように見えたかもしれないけど、実はこいつは音楽以外で自分の方向に進んでたってわけ。そういえば、何年か前にTABOO1の家に遊びに行ったとき、フィギュア作りの機材と格闘してたよな。で、せっかく遊びに来た俺への対応が、ものすごく雑だったのをよく覚えてる。「なんて意地悪なヤツなんだ」と思って……。
TABOO1 あぁ、あのときは確かにものすごく機嫌が悪かった。ヤフオクで機械を買ったら、不良品が届いたんだよ。普通に買うと30万円くらいするヤツが6万円で出品されてて、それでも高いけどフィギュア作りに必要なので落札したら、30キロくらいのヘンな鉛の塊が送られてきて……。漢が来たのは、まさにその鉛の塊を見て途方に暮れてたとき。「何やってんだ?」とか言われた覚えがある(笑)。とにかく、ここ数年はずっとそういう感じだった。基本的に部屋に閉じこもって、フィギュア作りとかマンガの作業とかをしてたね。髪もボサボサに伸びて、いろんなことが収拾つかなくなってた。
漢 本当に自分を見失ってるんじゃないかと思ったもん。俺らっていつも事後報告だよな。お互い、形になるまで言わないことが多い。あのときもTABOO1が何やってるか知らなかった。マンガの作業が済んでからは、いつもの坊主頭に戻って優しくなったけど(笑)。
TABOO1 最近の俺はほとんど職人だね。『イルブロス』の表紙は、覆面を被ったTAMとKONGだけど、あれは俺が昔から描いてる“ILL BROS”というキャラでもある。去年は手作りでILL BROSのフィギュアを400個作った。着色も一個ずつ全部自分でやってね。俺はおもちゃ作りとかマンガとかサブカルチャーが大好きだから、こっちの道で生きていきたいんだ。
漢 でも、せっかくこのマンガが出たから、俺とお前とのユニットであるILL BROS名義の曲を出さないと。制作がストップしてたものがあるから、今2人で取りかかってる最中だよな。遅くとも年内には出したい。
TABOO1 あと、俺は表紙に出てる“ILL DOG”のフィギュアを作る予定。
漢 しかし冷静に考えてみると、ILL BROSのKONGのモデルは俺だろ? 俺になんの断りもなく商売しやがって……。今後はちゃんと権利を主張していくからな!
TABOO1 別に“漢 a.k.a. GAMI”のキャラクターを作ってるわけじゃないから! KONGは俺の創作であって……。
漢 本当に巧妙なやり口だ(笑)。それはともかく、俺らはいつもこんな感じ。MSCを結成したのはもう20年近く前だけど、あの頃、こういう形でヒップホップを続けてるとは思ってもみなかったな。
(構成=宮崎敬太)
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