トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > テレ朝・弘中綾香が広げる可能性
テレビウォッチャー・飲用てれびの「テレビ日記」

テレ朝・弘中綾香が拡張する「女子アナ」の定義

弘中綾香「つまらない大人になりたくないなって、ずっと思ってて」

 女性ファッション誌の表紙でセミヌードを披露したり、将来の首相候補と目される代議士と結婚したり、チャリティマラソンを完走したり。フリーか局アナかを問わず、最近あらためて「女子アナ」が話題になることが多い。

 テレビ朝日の弘中綾香もまた、注目を集める「女子アナ」の1人だ。『激レアさんを連れてきた。』で、その奔放な発言が広く知られることになった彼女。31日深夜には、局の垣根を超えて『オールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送 )のパーソナリティを務めた。その前哨戦、4月に『オードリーのオールナイトニッポン』(同) にゲスト出演した際は、「夢は革命家」といった発言でも話題になった。

 そんな弘中の初めての冠番組が、先週28日に最終回を迎えた『ひろなかラジオ』である。7月末から期間限定でAbemaTVにて配信されていた同番組は、弘中がインスタグラムに寄せられた質問に答えたり、好きな本やアイドルグループを紹介したり、コスプレやギャルメイクを体験したり、そんなラジオともテレビとも動画配信ともつかないプログラムだった。

 先日の最終回は全編フリートーク。弘中がいま一番会いたい人として名前を挙げた、講談師の神田松之丞がゲストに迎えられた。神田の前で弘中は語る。

「つまらない大人になりたくないなって、ずっと思ってて」

 弘中いわく、ただの視聴者としてテレビを見ていたときの自分は、「アナウンサーって、なんでつまらないことばっか言ってるんだろう」と思っていた。もちろん、局アナになった今となっては、社員としての役割と責任があるのだということが理解できる。ただ、入社後も、こんなふうに思う自分がいる。

「ああいうふうに、80点を取りにいきたくないなって」

 この発言に、神田も思わずツッコむ。

「俺はロックスターとしゃべってますか?」

 同番組ではこれまでにも、ロックスターのような発言が弘中から幾度も聞かれた。たとえば、「結婚していない私は欠陥品なのではと思ってしまう」という女性からのお悩みには、自分も結婚していないので既婚者の気持ちはわからないとしつつ、次のように持論を語った。

「逆に、自分に何か足りないからみんな結婚するんじゃないの? (中略)結婚していないってイコール、不足しているってことじゃないと思う。自立しているってことだと思う。1人でも生きていけるってことだから。自分に拍手!」(8月7日)

 あるいは、「遠距離の彼との結婚を考えているのですが、仕事を辞めるかどうか悩んでいます」という女性からの相談には、子育てを考慮すると相手についていく選択肢もあると思うと前置きした上で、こう応じた。

「仕事を辞めて向こうに行くっていう選択肢もあると思うんですけれども、なんでそれはいつも女の人だけなんだろうと思うんですよね。すごくもったいなくないですか? 私だってキャリアがあるのに、なんで私が辞めなきゃいけないのって……思うよねぇ~」(8月14日)

 少しずつ変化してはいるのだろうけれど、番組のメインを務める男性出演者をサブの位置からサポートする役割を担うことが多かった「女子アナ」は、自らの意見を語る場面がやはり相対的に限られているように思う。しかし、「革命家」たらんとする弘中は、ときに社会の支配的な価値観や慣習と衝突しながらも、個人として語る。しかも、テレ朝きっての人気「女子アナ」という立ち位置はそのままに。

「女子アナ」という枠組みの内側で、弘中は一人称で自らの考えを表現する。「女子アナ」の可能性は少しずつ広がっていく。これもまた、ひとつの「芸」のなせる業なのかもしれない。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

 

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

サイト:記事一覧

Twitter:@inyou_te

いんようてれび

最終更新:2023/02/27 19:24
12
ページ上部へ戻る

配給映画