【京東商城】中国のイーコマース企業が作った「完全無人倉庫」の内情とは?
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現在は「中国版アマゾン」と言われることも多い、このJD.comのEC取引額は22兆円(2017年)に上る。そのビジネスの心臓部は、最先端のテクノロジーを活用したスマート物流だ。
歴史的に中国のオンラインショッピングでは、せっかく注文した商品が破損しているなど、クオリティの低い物流によってユーザーは嫌な目にあうことが多かった。そこでJD.comは、なんと自社で物流システムをゼロから構築するという手段に出た。
きちんとした有名メーカーの商品が、もっとも整備された物流システムによって、美しい状態で手元に届く。これによってJD.comは後発にもかかわらず、中国最大のイーコマース企業であるアリババを追い上げて、中国ナンバー2の座にまで上り詰めた。
従業員数は17万5000人以上おり、なんと約40%にあたる7万人が物流の配送員をしている。また2010年にはアマゾンより先駆けて「当日配送」のサービスを始めている。
そして巨大な物流倉庫は500カ所以上もあり、そこでもっとも力を入れているのが、冒頭で紹介したようなロボットと人工知能による自動化の加速だ。人間の腕の代わりにロボットアームを使うだけではなくて、さまざまな商品や商品棚を載せて、昆虫のように倉庫内をチョロチョロと走り回るAVG(自動搬送車)であったり、ドローンといったハードウェアも続々と取り込んでいる。
「中国では、10万人以上もの従業員に対して、高いスキルを一人ひとりに教え込むのは本当に難しい。だったら、ロボットで自動化したほうが早いというのが、経営側の視点です」と、JD.comをよく知る日本人は語る。
さらにドローン利用でも先行しているのは、中国ならではの理由もある。
「例えば、山が連なる四川省には、陸路で断崖絶壁を4時間かけないと行けない場所に人々が住んでいる。それがドローンなら15kgの荷物を5分の飛行で運べます」(JD.comの肖軍・副総裁)
今年に入って日本のイーコマース大手の楽天は、JD.comの最先端のドローンや配送ロボットなどを採用して、日本国内における無人配送サービスなどの開発を進めると発表した。つまり、日本はスマート物流において「輸入国」になっているのだ。
■デジタル人海戦術の「限界」
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